「議論を描く」ということについてさまざまな角度から実戦的なヒントを提供
<br />してくれています。単なる図解の解説本とは一線を画した内容です。
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<br /> 次のような(とても信憑性のある)仮説に挑戦しているように思えます。
<br /> ・「全くニュートラルな立場で議論を受け止めることは可能なのか?」
<br /> ・「議論を整理する能力、また議論の内容を描く能力は、トレーニングできる
<br /> モノではなくて、結局は本人の資質や経験(量)絵心といったセンスによる
<br /> ところが大きいので、本を読むことでトレーニングできる部分は少ないので
<br /> はないか?」
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<br /> 筆者の考えは不明ですが、あえてこの難しい課題に挑んで内容を整理された試みは
<br />すばらしいと思えました。
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ファシリテーショングラフィックとは、話や議論を分かりやすく板書するためだけではなく、それによって話や議論を促進する行動的な技術だと思いました。
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<br /> 本書には、分かりやすく板書するために、ホワイトボードや模造紙に書くときの文字の大きさや書き方、色の使い方、挿絵の使い方などの技術が紹介されています。
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<br /> しかし、それにも増して私が本書をすばらしいと思ったのは、次の2点を指摘していることです。
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<br /> (1)分かりやすく板書するためには、的確な要約ができなければならない。その要約は、発言の一部を使ったほうが良い。
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<br /> (2)ファシリテーショングラフィックを担当する人が、話や議論が進む中で何をどのように考えながら描いていくのかを説明している。
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<br /> この要約の方法と考え方は、私が普段板書するときに、どうしたらよいだろうと思っていたことだったので、その解決に役立ちそうです。
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<br /> 本書に書かれていることを踏まえて、「よし! 私もまずは描いてみよう!」
「ファシリテーションをグラフィック化する?」というタイトルに魅かれ、思わず手にとりました。とても読みやすく、かつ、視覚的に楽しい構成で、ストレス無く通読できます。
<br />「会議メンバに判り易く伝えるためにはどうすればいいか」「板書役だけど、意見を上手にまとめられなくて困っている」という悩みをお持ちの方にとっては、今日から使える極意が満載。常に手許に置いておきたい実用書です。
<br />日ごろから仕事や課外スクールで、ホワイトボードを前にプレゼンをしたり、文字通りファシリテーションをする機会の多い方は必見です。
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