第1章から、高付加価値路線の企業と安売り業態の企業の業績を名前を伏せて対比していたが、圧倒的な利益率の違いに、簡単に間違えてしまった。
<br /> その後も次から次へと繰り出される「常識」の裏を行く儲けのからくりを示されて、一気に読み切ってしまった。
<br />
<br /> 本書は、会計の本と前書きにあるが、難しい決算書の読み方や数字の分析はどこにも出てこない。それでも、M&Aの項目には、「持ち分プーリング法」や「パーチェス法」などの最新の理論がわかりやすく解説されているし、会計の基本構造も、どんな教科書よりもわかりやすく記載されている。
<br />
<br /> お薦めの本である。
<br />
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』のヒットを意識して,もう少し専門的な要素を組み込んだ,どちらかと言えば経営学の色彩が強いように思われる実務家向け書籍である.『竿だけ屋は..』は公認会計士の山田真哉さんが書かれているので,実学に即したところを強調する反面,本書は経営学に関わる大学教授が執筆しているので,やはり学術的な視点に傾いているとも受け取れる(?).
<br />
<br /> それでも,B/S, P/L の話も取り上げ,なかなか簡易に,具体例を取り上げ分かりやすく説明しており,最後まで読むのにそれほど苦労する必要なく全体を理解できる.会計学や経営学の専門書を読むことに挫折した人には,ちょうど良いレベルの記述ではあるが,専門家の方には物足りないのは致し方無しとも言える.そうは言っても,キャノンのSEDの戦略が主力のプリンタービジネスに直結しているとの話は知らなかったので,役に立つ情報は結構あるかも知れない.読む価値は有るように思う.
経営戦略論と会計学を融合させ、初学者に分かりやすく解説した本として、かなり売れているらしい。実際に読んでみると、実在する日本企業を例としてふんだんに用いながら、どのような戦略を採っているのか、そしてその結果、それが収益などにどのように反映されてくるのかということを説いている。個人的に特に面白いと感じたのは、ポイントサービスの話で航空会社と百貨店を比較している章。元々、ポイントサービスはリピーターを増やすための戦略として有効であるが、貯まったポイントが引き換えられる際、航空会社はほとんど何も損をしない(∵空席で飛行機を飛ばしても、空席に無料客を座らせて運ぶのもコストは一緒なので)ため、企業と客がwin-winの関係となり、ポイントサービスが制度として長続きする。一方で、百貨店のポイントサービスでポイントが何かの商品と引き換えられると、少なくともその商品の原価分を損することになるため、百貨店の収益を圧迫する要因となっている。普段何気なく貯めているポイントだが、それを使う際に企業に与えるインパクトの違いについて深く考えたことがなかっただけに、なるほどと感心してしまった。その他、帝国ホテルと東横インのビジネスモデルの比較、ドコモやキャノンが採用している有名な?「ジレット・モデル」の例など、なかなか楽しめる本である。