本書は非常に実践的な本です。俗に言う自分の成功体験をひけらかす本でも、無意味なポートフォリオをくんで、株式●%、債券●%で、年●%が達成できる「はずです」という無責任な本とも違います。
<br />著者が自分の成功/失敗の両方の経験を書いています。
<br />私はこの本を読んで、投資スタイルがかわりました。とくにパニック売りや天井相場での行動の仕方など。だまされたと思って読んでください。
一気に読了しました。翻訳もすこぶる良し。多分原文もリズム感に満ちた文体なんだろうと思います。こういう本にもっと早く出会っていれば職業投資者としてもっとまともな仕事ができただろうと悔やみます。
<br /> もっともこれまで小難しい理論書かトンデモ本ばかりでまともな投資教科書がなかったのも事実です。でも本書を恐らく運用のプロを自認しているアカデミック/教養主義者の頭でっかちオジサン達に読ませると怒り出すでしょう。職業人として運用を始めて日が浅い方は、会社のデスクでは読まないほうがいいでしょう。通勤電車の中か自宅でこっそり読むべし。
<br /> 本書ではメガボトム(最高に美味な投資機会)を見極める判断指標を5つ挙げています。1.一般紙が取り上げる度合い、2.プロの投資家のセンチメント、3.株式投信の解約率、4.インプライド・ボラティリティ、5.需給バランス。至極納得。敢えて日本の市場に関して付け加えるなら、「大手機関投資家=サラリーマン・ポートフォリオ・マネジャーの大量/見切り売り」でしょうか。
外人の翻訳本でこのボリュームにしては安い買い物ができたと思う。リスクの分散を学び銘柄選択にも幅が持てるようになる。僕のお気に入りの一冊にしたい。
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