飯島勲は、まだ何かを企んでいると読んだ。本書を単なる秘書の手柄話の披瀝・回顧録として読んでは、少々もったいない。
<br /> 本書は、行間を読み、他の資料と照合の上で、何が「書かれざる一章」であるかを読者が補うのことが最上の読書法と推断した。
<br /> 日本の歴代内閣の中でも、突出するものとして記録されるであろう小泉純一郎氏による内閣と官邸の影の大番頭・演出者がこのように記録を残したことをまずは僥倖としたい。
<br /> 前提として、衆議院選挙制度への小選挙区制の導入・中央省庁の再編・官邸機能の強化等、橋本・小沢・細川等の政治家が残したものが小泉官邸の法制的骨格を成している事実を確認しておく必要がある。
<br /> 小泉純一郎・飯島勲コンビは、それらを縦横無尽の駆使して、中曽根内閣が使用した与党と官僚の影響力をショートカットする「大統領的」手法おも取り込み、小泉純一郎の思い入れと思い込みの対象としての郵政と厚生行政に、大臣在任当時の宿願を果たす物語として読めば、本書の定価分は回収出来る。
<br /> その上で本書を、組織のラインとスタッフの役割、官僚の生態、官僚の使い方、政治家を政治家は如何使うか、様々な読み方が出来る。
<br /> 惜しむらくは、飯島勲と週刊誌等との「名誉毀損事件」等の摩擦、小泉チルドレン等の下世話話に筆の分量が欲しい。
小泉首相の間近に長年いた方だけあり、
<br />その政治手法や性格が、こまかに描かれています。
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<br />「わかりやすさ」に、
<br />ここまでこだわっていたのには驚きました。
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<br />読後に、現在の安倍首相がパッとしない
<br />理由も想像できてしまうのは一興でしょうか。
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<br />今読んでも面白いですが、
<br />時代を振り返る書物として、10年くらい後に読んでも
<br />また趣の違う楽しみ方ができるのではないかと思われる1冊です。
賛否はあれど、安部内閣になってメリハリの利いた小泉内閣への「望郷」の念に、
<br />かられる人々は多い。その小泉の影武者が表舞台に出た。政治家の回想録と違い、
<br />政策決定の現場が、官僚の動きを中心としてよくわかる点が興味深い。著者が
<br />反竹中の官僚に目をかけている点など、小泉と著者の違いがわかるのも面白い。
<br />しかし、小泉訪朝のくだりなど、外務省の存在を過小評価しているなど、手前味噌
<br />との批判は免れない。まだ、書かれていないことは多そう。