独自の上司学を提唱している、嶋津良智さんの処女作です。
<br />ご本人が実行し、うまくいったことしか書いていないので、
<br />とても説得力があります。
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<br />◎イエローライン戦略
<br />→来月のこの時点で、ここまで達成できていなければ黄信号。
<br /> 対策もしっかりと決めておく
<br />◎部下には、「どうしてうまくいかなかったのか?」ではなく、
<br /> 「どうすれば、うまくいったと思う?」と聞く
<br />◎過去と未来を棚卸する
<br />◎部下が動かないのは、不安・疑問・異論(反論)のうちどれかを
<br /> もっているから、それを解消すること
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<br />などなど、使える考え方が満載です。
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あれですな。
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<br />組織論と上司論の本なんですね。
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<br />自分から進んで行動できるような組織にしろとか、目的(何のために、なぜやるのか)と目標(いつまでにどーする)が必要であるとか、ゴールから逆算して目標を立てるとか・・・
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<br />べたべたな内容ですな。
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<br />べたべたでありきたりなんですけれど、176ページの「部下にしかられて組織は強くなる」なんて言うのは良かったですね。
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<br />で、ですね次の12箇条を実行するとできる上司になるそうな。
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<br />@メンターへの相談
<br />A情報収集・勉強(能力開発)
<br />Bお客様の役に立つか?儲かるかを考えて行動し、従業員にもさせている
<br />C人脈を作る
<br />Dやる気のサイクルを回して、部下育成を第一の仕事としている
<br />E仕事を楽しんでいる
<br />Fメモを良くとる
<br />G人の功績を認めている
<br />Hいつでも周りの協力が得られるように周囲へ貢献している
<br />Iビジョンを誰にでもわかる言葉で常に話している
<br />J健康に気を遣っている
<br />K時間を有効に使っている
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<br />・・・・だそうな。
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<br />ふ〜ん。
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いわゆる部下に対するマネジメントの基本が平易な言葉でわかりやすく具体的に書かれています。
<br />この手のビジネス書を読むのが苦手な私でも特に苦痛なく読むことが出来ました。
<br />おそらく筆者が自らの体験に基づいて書かれたものだから、こういうスタイルになったのだと思います。
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<br />実はこの本の一番凄いと思うところはここであり、つまり、自らの体験レベルの話をこのように体系的にまとめているところです。
<br />私にも同様の体験や思考はありますが、このように体系的にまとめられるかと言われればきっと無理でしょう。
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<br />ただ、具体的で分かりやすいがために危険もはらんでいると思います。
<br />この本を読んだ上司が大きな勘違いするかもしれません。
<br />例えば、「上司は部下を育てるために仕事を振れ!」と書いてあるのですが、もしこれを部下がついてこない人が読んだら、「自分の仕事は部下に仕事を振ることだ」と勘違いしてしまうかもしれません。
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<br />実際、どんなに部下が困っていようと「それはあなたの仕事だ。自分がやれば出来るけど、それではあなたの成長につながらない」と言い切っている人がいました。
<br />これって大勘違い野郎でしょ?
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<br />組織におけるマネジメントって、目標(企業理念や業績)の達成するべく、そこにある資源(人・モノ・金)をいかに効果的・効率的に投入するかってことなわけですから、仕事がうまく進まないのにそれを「育成」という印籠をかざして終わらせてしまうのはマネジメントではない。
<br />こんな上司が部下から尊敬されるはずもなく、尊敬されない上司が何をやっても育成にはつながらないんですけどね。
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<br />でも、こういう人がこの本を読んだら、自信が確信に変わると思うんですよ。
<br />「やっぱり俺の考えは正しい。俺っていい上司だ」って。
<br />そうはなってほしくない・・・
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<br />ということで、今の上司に不満を持つ若手社員が読み、「そうだよ、そうだよ、やっぱり上司はこうじゃなくっちゃ」と共感して本棚にしまっておき、10年後に自分が上司になったときに読み直して「そうだ、俺が若いときにした苦労を俺の部下にさせちゃいけない!」と言動に気をつけるのにいいんじゃないでしょうか。