こちらのことをナメきっている相手に、要求を通すことができるだろうか?
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<br />立場ということに関して、ハーバード流では役柄上の立場の話しか扱っていない。
<br />確かにそれに目を向ける必要は必ずしもあるわけではない。
<br />しかし、精神的立場となるとそうはいかない。
<br />ハーバード流は何も間違ったことは書いていない。
<br />しかし実際の交渉では、あれだけのノウハウでは解決できないケースも多々あるということだ。
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<br />自分の立場が相手より大きく下回っているときに(簡単に言うと見下されているとき)、こちらの要求は通らないだろう。
<br />そのとき私たちは立場を平等以上にする必要があるのだ。
<br />そのためには脅しやハッタリも必要。そう筆者は唱えている。
<br />これには私も全くもって同意である。
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<br />交渉において立場が相手より下にならないようにするためのノウハウ、
<br />こういったものを扱っている本は以外と少ない。
<br />そのためこの本はとても貴重であり、有益であるといえる。
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いや、ほんとに結構凄い。内容の簡潔性と充実度に驚いた。こう書くと胡散臭いが、そう思う向きには図書館に行ってでもまずは一読を勧める。「ハーバード流交渉術」などでBATNAがどうした、とか考えて行き詰まったときに、「本質はやっぱりこうだよな」と確認させてくれるだけでもきわめて有益だった。自信を持って星五つ。
「行列のできる法律相談所」などで活躍中の橋下弁護士。<br>そんな彼が、本業である弁護士・交渉代理人としての自分のテクニックを解説したのが本書である。<p>肝心の中身だが、これがおもしろい。<br>きれいだが実戦では使えない交渉術が羅列されている本とはひと味違う。<br>どれも生々しいテクニックばかりである。<br>中には、「本当に現役の弁護士が書いたのか?」と思わせるような刺激的な内容までも含まれている。<br>むしろ、ここまでやるから交渉代理人という仕事が舞い込んでくるのかと、感心さえもしてしまう。<p>弁護士の交渉術というと、法律の知識をフルに使って、司法の力で相手を打ち負かすものだとばかり思いこんでいたが、本書を読んで考えが180度変わったと言わざるを得ない。<br>弁護士といえども、普段の交渉は一般の人と同じである。<br>逆に言うと、本書で書かれていることは、一般の交渉においても十分に使えるということだ。<br>それだけ、万人に通じるテクニックだからこそ、その威力も大きいのだろう。<p>明日から使える実践的な交渉術を学ぶ実用書としても、橋下弁護士の使う交渉術を楽しむ読み物としても、どちらにも使える1冊である。