村上春樹の現代的な感覚での、現代語での翻訳は、非常に読みやすく、すんなりと入ってくる感じがしました。
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<br />クリスマス休暇の直前に、退学処分を受けた主人公ホールデンが、家に帰らず彷徨う数日間を描いています。この思春期の情緒不安定な青年の、「心の彷徨」が丁寧に描かれています。周りで起こること、他人が言うことに対して、すべてに対して反対してしまう主人公に、そんな時代もあったかなと思いながら読みました。
<br />アントリーニ先生が言うように、自分を見つけることが必要なのであり、すべて自分の思い通りに「生きる」ことは不可能であることを知る必要があるのでしょう。そこに至るまでの「心の彷徨」は、ホールデンにとっても通らなければならない道だったのでしょう。
海外の名作を読みたいとは思っていたのですが、ドストエフスキーやヘミングウェイを読んでみて、あまり理解できずそれ以来躊躇していた私でした。
<br />がしかし、名作ライ麦畑でつかまえてが大好きな作家村上春樹さん訳ということで即買い!
<br />原作を読んでいないので表現の違いは分からないのですが村上春樹の作品じゃないの?というくらい読みやすかったです。
<br />16歳の主人公ホールデン君が、退学になった学校を飛び出し読者に語りかけるように話は進行していきます。
<br />私は20代なので10代のときに読んでいたらもっと共感できたんだろうけど名作を読み終えた充実感で☆4つ!
学校を放り出されて、
<br />放り出される前に学校から飛び出て、
<br />あちらこちらをうろつくホールデン君のみじかくてながい数日間。
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<br />いけすかない、文句ばっかりたれている、
<br />臆病で、へんな赤い帽子をかぶっているホールデン君。
<br />でも、ほんの少しの間一緒に過ごしただけで
<br />(本当に一緒に過ごしたように感じる、)
<br />絶対に、ホールデン君を嫌いになれなくなってしまう。
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<br />ペーパーバックになるまで待ってよかった、と思う。
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<br />あてどない気持ちになったときに、
<br />外をぐるぐる歩いては、読みたくなってしまう1冊だから。
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