上達者がどうして上達者であり、その中級者、初級者との質的な差異についてわかりやすくまとまっている。しかし、上達をしていくなかで、法則めいたものがほしいとき、それは、この本の内容では意味がないと思う。
<br /> とくに、努力して、なにかを上達している途上にあるとき、自分のやっていることがどういった目標との距離を持っているかを自覚的に知るにはどうすればよいかなどを、著者はそれが上級者ですから、と言われてしまえば元も子もない。そこから先の話をいっぱいききたいのにと思いました。
上達って、誰でも何かで上達してきた経験があるもんだと思う。たとえば自転車に乗れるようになったとか、鉄棒だとか、スポーツだとか、楽器だとか。
<br />そういった経験を、文字にして説明・考察するという崇高な本。そんな経験を文字にして説明できる人って普通なかなかいないと思う。
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<br />かなり堅い、学術的な文体で書いてあるので、好き嫌いが分かれるかもしれないが、新書なんで薄いから、結構ついていけると思う。
<br />堅い書き方、堅い内容なんだけど、読んでいてすごくわくわくしてしまった。知的にすごく刺激を受ける。
<br />学校の教育などにもちょっとだけ言及しているんだけど、仕事していくのに必要な勉強だけやるのがいかにその後の人生に意味がないか、綺麗に痛いところついてて、小気味よかった。
<br />この本、もう一度読むと思う。そして、語学習得とか、スポーツをうまくなるとか、色々なところに役に立つ本だと思った。
上達には法則がある。著者は本書の冒頭でこう言い切っている。
<br />本書で言う、「上達」を学力向上と捉え、
<br />教育現場に著者のノウハウを適用することが出来ないか考えた。
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<br />いわゆる劣等生というのは、本書で言うところの初心者、
<br />分かるという感動を味わったことのない子たち。
<br />何でもいいから出来た、わかったという経験が心の余裕を生み、
<br />他の科目での向上に繋がっていくと考えられる。
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<br />翻って、今の教育現場では、生徒に気付きを促すような
<br />方法論が取られているだろうか。決められたことを決められた
<br />ようにしか教えられない先生たちに、本書を読んでもらいたいと考えた。