中谷氏の論理展開、文章展開は、みごとです。
<br />タイトル以上に内容が幅広く、深い考察の名著です。
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<br />ビジョンやリーダーシップ、経営戦略という、計画だけ
<br />みごとでも、机上の空論。実行できて初めて、世界の一流
<br />の企業、優れた企業戦略である、ということを、IBMやデル
<br />というエクセレント・カンパニーを引き合いに出して、論じて
<br />います。
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<br />それ以上に、経済発展だけ、驚異的に実現「できてしまった」極東
<br />の島国と、世界の歴史と、おかれている状況を、歴史、経済、組織、
<br />神話、宗教、民族など多岐にわたる博覧強記で、天下国家のリーダー
<br />を論じているのは圧巻です。
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<br />ビジネス新書で、これだけの内容は、最近ちょっとお目にかかれません。
<br />一読の価値はあまりあるほど十分にあります。
『リーダーになるべき資質,そのために必要な取り組み』を基幹に据えて議論しており,現状の日本の教育を過去(戦前教育)と比較したり,『教養』の必要性,日本文化の位置づけに及ぶ広範囲に渡る議論を展開している.
<br /> 最も印象に残った一節は,『教養』 とは何か,リーダには教養が必須であると言う指摘をしている点.過去の日本歴代首相に対してエリゼ宮で出されたメニューから,当時のフランスが彼らをどう評価していたかが分かるという事例.日本人はワインを飲むのが一般的とは言えないが,フランスに行って,もてなしてもらうのに,ワインのことが全く分からない,先方の配慮に気付きさえしない人に国を代表するリーダーとして相応しいか? との一節は,非常に的確な指摘だと感じた.この背景には,戦後の日本教育の平等主義が影響していることを示唆する一面もあり,個性を優先的に伸ばさない現状日本の教育が,『Japanese businessman are boring』と外国人に言わせる起点となっているとの議論には,身につまされるところである.これは,我々のビジネスにも共通するところである.外人との会話で,話題に困ることはよくあることであろう?
<br /> この他,宗教観,世界のリーダーを事例にしたリーダーシップのあり方,その万国共有化は可能かなど,多岐に渡る議論があるが,タイトルにもあるように,リーダーは孤独であり,その愚直な行動で部下を引っ張らなくてはならない.小生考えるに,リーダーは部下に対するサービス業たる一面(部下の能力を最大限引っ張る環境作りが必要という意味で)も備える必要もあるので,中谷先生が指摘されるリーダーの姿勢には共感するところが多々有ったのである.
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<br /> 細かいことは抜きにして,一度読んで頂きたい,この夏最も印象に残った一冊です.現状の自分の生き様を見直す,何かをつかめる一冊のような気がします.
サブタイトルに「人と組織を動かすリーダー論」とあるように、
<br />リーダーシップについて書かれた本です。
<br />内容は『PHPビジネスレビュー』に掲載したものをまとめたもの。
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<br />他の方も言及されていますが、
<br />「愚直に実行する」ということは、この本で論じられている
<br />4つのリーダーシップの条件のひとつに過ぎません。
<br />そのため、このタイトルに押されて購入した私としては、
<br />全体を通読したら逆にタイトルのインパクトが薄れてしまいました。
<br />それ以外の個々の論考も悪くないだけに、
<br />主張のコアがぼやけてしまったようで残念。
<br />個人的にはタイトルのテーマに絞って
<br />ぐいぐい求心的に論を進めて欲しかったです。