きっと、それでも書けないことが数多く残ってるんだろうなあって思います。
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<br />ただ、著者の杉本さんは、死を前にして、どうしても伝えなくてはとの信念でお書きになったんだと思います。
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<br />物書きが書いた本じゃないので、けっこう読みにくい感もあるんですが、中国の実情を少しでも知るには、良書といえるかもしれません。
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<br />日本の外交ベタを少しでも改善していくには、ささいな努力が必要であるとわかります。日本の援助で建てた施設には、必ず日中友好の文字と、日本の援助で建てた旨の碑を掲げること等。ただ、根本的には、中国の戦略があるので、草の根レベルの有効など木っ端だと思うのですが。
この本は中国を知る上で本当に参考になると思う。
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<br />昨年6月の反日デモは党主導のデモであると私は予想していたのだが、そういう部分もあるが単純なことではなかった。・・・という具合に新聞や過去の自分の知識から読み取れる中国は本当の中国ではないことが良く分かった。
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<br />ある意味北朝鮮と同じような部分もあり怖い国である。現政権(同族ではないがある意味世襲的な権限委譲を続けている政権)があの巨大な国をこれからも安定的に制御できるとはとても思えない。
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<br />このようなとんでもないことを予測できる事実が豊富に盛り込まれている。私の読む本にしては厚い部類に属する本であるが、あっという間に読み終えた。本当に興味深い内容であった。
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<br />著者の杉本さんにはもっともっと日本国のために尽くして欲しかった。
昨年の反日暴動以来、日本人にとって最も嫌いな国になった中国。最近はその脅威論ばかりが叫ばれているが、本書を読むと、貧富の格差、特に農民(及び農民戸籍を持つ労働者)と負け組みの人民解放軍兵士の不満が爆発寸前で、下手をすると現共産党政権が内部から倒されかねない現実が分かり、びっくりした。勿論、現役の外交官が書いた本なので、書けない事実は多々有ったと察する。しかし、日本企業がこれだけ中国に投資し、日本経済が中国経済と運命共同体になってしまった以上、中国は好き嫌いと問えない隣人になっており、その中国を冷静に見るという点で非常に参考になる本であった。