正統派山田ユギ作品だと思いました。いつものパターンで可愛い受け顔の子が一人バタバタしてて、でもほんのり暖かい感じが好きで安心して読めた感じです。しいて言えば脇を固めた先輩たちの「服を着るヒマもない」の方が好きかも〜この人達のその後も読みたいです。
多くの人も書いていますが、ユギ作品は物語の完成度が高い。例えそれが
<br />短編であっても揺るがない軸のようなものがあり、キャラと物語世界に
<br />ふくらみと現実味、人間らしさを与えていると思う。
<br />BL読書歴は浅い方ながら、ユギ作品を知ってからは、自分の中で
<br />『買ってまで読みたいBL本』のハードルが一気に高くなってしまった。
<br />罪な作家さんだと思う。
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<br />この作品、過去のユギ作品を彷彿とさせる部分も多いので一見マンネリと
<br />受取られがちとは思うが、私はそれをユギ作品の安心感として読めた。
<br />終盤、主人公が相手に言った「だから安心して俺のもんになりな」は
<br />「迷いを拭い去るやわらかい風」のようで、読後の新鮮さをもたらして
<br />くれたように思えた。
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<br />何よりもこの人の作品では、人って本当、憎めない愛しい存在だと思える。
<br />新しい設定と登場人物で、それを再確認させられる事自体が、この人の
<br />作品を読みたくなる原動力なのかも。
いつもながら、本当に登場人物の心理描写が巧みです。
<br />受けの素直でまっすぐなキャラクタには共感できるし、
<br />攻めの弱さが吐露される場面では、「憂い」みたいな色気を感じさせ、胸の高鳴りを抑えられませんでした(笑)
<br />そして脇が!脇役が本当に魅力的。今作も、読後あれこれとサイドストーリーを想像させ、隅々まで飽きさせません。
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<br />難をいうなら、航空関係の男子寮というおいしすぎる設定が、やや生かされずじまいに終わってしまったかな、と。
<br />登場人物らが航空関係の仕事にこだわるその気持ちを、読者として完全に共有しきれなかった部分があり、それが残念でした。
<br />魅力的な空の世界をもっともっと描いてほしかったかな。
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<br />しかし働くお兄さんを本当にかっこよく描いてくださる作家さんで、今回もスーツも作業服もピカイチの素敵ぶりです。
<br />10代から社会人へと、時間の流れがあるのですが、絵柄を拝見しても
<br />彼らのかっこよい成長ぶりを、無理なく自然に描いてくださり、読んでいて顔が笑ってしまいます。
<br />どなたかもお書きになっておられますが、ややマンネリの感は私も感じます・・・が!このBL業界では「はずれがない」というだけで十分驚異的、賞賛に値するとも思います。