確かに『これでわかる』を謳い文句にしているから『理解しやすい数学』や『チャート式』よりかは導入も多いしわかりやすいです。しかし、私のように文系から理系に転部した人間にとっては、これをこなすだけでも結構キツい(中学数学からやり直していなければ、多分1Aですらしんどい)。どこかでまだ検定教科書的な体裁が残っているというか、どうしても四角四面な所がまだあったりする。坂田アキラ先生や佐藤恒雄先生のようにはいかなくても、もう少し文系向けに噛み砕いた説明があっても良かったと思います。ある程度の下地のある純粋理系や国立文系の人には良いのでしょうが、私立文系にはちょっと。。
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<br />もちろん、高校数学の入門書としてはとても重宝します。フルカラーでイラストも多いし、デザインも見やすい。ただ、いかんせん類題や章末問題の解説が中途半端な点(途中式も省略されている箇所が多々ある)がかなり見受けられるし、全体の問題の約2割ぐらいに「は?何だこれ?」というような明らかな悪問が混じっていたりします。
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<br />とはいえ、基本事項が理解出来てしまえば悪問が解けなくても問題は全くありません。悪問を解けるようになるよりかは、基本的な事をきちんと押さえた上で応用力を付ける方が大事ですから。しかし、数学が出来ない人間にとっては「基本事項を理解できる」という事がいかに難しいことか!これが出来るようになるまでに結構なストレスが溜まります。そのストレスに耐えられる人なら良いのですが、それが耐えられない人は、やはり数学の出来る人に聞くなり、予備校の授業を受講された方が良いと思います。でないと、多分数学という科目が余計に嫌いになってしまうと思います。
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<br />残念ながら「これだけでわかる」という訳にはいかないですね。特に、数学を自学自習して理系の学部を受験するのであれば。でも、前出した坂田アキラ・佐藤恒雄の両先生方の参考書を併用して進めていけば、この負担も割と軽減されると思います。『これでわかる』が柔らかめの教科書ガイドならば、この両先生の本(前者は中経出版、後者は東進ブックス)はさしづめ「教科書ガイドのガイド」といった所でしょうか。
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<br />ちなみに1Aと違い、『これでわかる』の2Bと3Cには、別冊解答にちょこちょこと副文が載っているので、ちょっと嬉しくなります。
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<br />また、文系・理系を問わず数学は2Bが最大の山場なので気合い入れましょう。逆に、ここを乗り切ればあとは楽です。
この本は基礎という基礎をイラストや図でわかりやすく説明してくれる本です!!練習問題などもとても取り組みやすいレベルの問題を最小限の数で出してくれています。教科書と併用したり、長期休暇中に1冊仕上げたり、どのように使ってもいいと思います。これから数学を学ぶ高校1・2年生や、数学が苦手な受験生にお勧めです!!
教科書レベルの内容を、とにかく丁寧に解説している。中でも導入部分は素晴らしい。対話のような形式で、「数列って何?」ぐらいの、数学が得意でない生徒さんが最初につまずきそうなポイントもしっかりフォローしている。例題の選び方も、代表的な検定教科書に忠実なので、物足りなさはあるだろうが「やりづらい」と感じることはないだろう。中学校から数学が苦手だった人はもちろん、学校の授業を聞き逃してしまった箇所の復習用に、逆に基本事項だけを先取りしたい人用にと、幅広く使える。
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<br />演習量を補うには、この本の「定期テスト対策問題」(章末)にチャレンジしつつ、「ニューアクションβ」(東京書籍)や「黄チャート」(数研出版)などの本の例題に当たればよいが、基本事項を忘れてしまったり、新しい分野に入ってまたつまずいてしまったりしたら、やはり面倒がらずこの本に戻ってやり直して欲しい。