単なる学術フィクションなのでしょうが、日高先生が翻訳しちゃってる!ちょっと反則感のある面白本ですよね。
<br />でも旧版を購入した学生時代当時は完全に信じていました…
1987年に思索社より翻訳刊行された『鼻行類』を店頭で見かけ、その時点では半信半疑ながらも購入。自宅であらためて読みはじめてほどなくこれはフィクションであることがわかったものの、あまりにもよくできているため笑いながら一気に最後まで読んでしまった。
<br /> シュテンプケは架空の人物だが、実際の著者は生物学の素養があるのだろう。いやけっこうな専門家かもしれない。学術書の形式をうまくふまえ、詳細な分類・学名、姿図や解剖図まで添えているから、素人はうっかりだまされてしまいそうである。
<br /> ハナアルキが奇妙すぎるとはいっても、ゾウのように巧みに鼻をつかう動物が現存するし、脚の次に頭があってそれから胴体というイカ・タコの類もいる。『ワンダフル・ライフ』で有名になったカンブリア紀の奇妙キテレツな化石群もある。それらの存在がむしろ本書を本当らしく思わせる理由になっているのだろう。
<br /> もっとも「1957年の核実験によって生息地の群島ごと消滅した」というのはさすがに無理がある。何百年も前のことならいざしらず、わずか50年前の島々の消滅が本書以外に他に記録がないなどということはありえない。
<br /> しかしながらインターネットなどで検索すると、一部ではハナアルキの存在を本気で信じているらしい人もおり、そのことからも本書がパロディーとしては上々のものであることがわかる。
ナソベーマリリクムについて初めて知ったのはある心理学のムックの挿絵で見たときでした。つぶらな瞳と長い鼻、リボンのような尻尾。以来わたしはナソベーマリリクムのことが気になってしかたなく、いみなくその絵を落書きしていたものでした。5年経ったあるひ、書店でこの本を発見したのでした!やっぱりあれはただのイラストではなかったのだ!そう思いこの本を読み再び混乱。あまりに学術的な内容にただただ唖然。でもハイアイアイ島には惹かれました。行って見たい。あーでもなんか納得できないような、納得できるような・・・これが本当なら将来家で飼えることだけを楽しみに信じて待ってます。