従来のストレスマネジメントは、ストレスの要因を取り除くか、ストレスの要因に対して感情的な反応を弱める方法をとる。
<br />一方、タフネス・トレーニングは、「ストレスに対するエネルギーの消費と回復」のバランスをとることで、個人が感情の面で強くなり、ストレスにうまく対処する能力を拡大させるとする。
<br />これは、一流のプロテニス選手が、試合中に得点が入ってから次のプレイに入るまでに許される最大25秒間(これは実に2時間の試合の85%を占める)を、プレイ再開のための準備時間としてではなく、直前の得点のストレスから回復する時間に使っていることへの、著者の気づきが生み出した。
<br />日本人のKAROSHI(過労死)への言及もある。
<br />うつは、オーバートレーニングの線形性回復から、アンダートレーニングへの線形性回復へ遷移した状態と考えられないだろうか。
メンタルタフネスという表題に対して、スポーツ心理学の権威が自分の研究成果にコミットする内容で、信憑性がある。中心は、バランスのとれたストレスと回復のサイクルを作る(ウェーブを作る)ことをタフになるためのトレーニングとして位置付け、回復の中身をA)肉体的B)感情的C)精神的と3通りに分けて分析、理論化している。巻末にはストレスと回復をそれぞれ数値化して日々モニターしていく表等もあり、実用性はともかくとしてハウツー本としても一読の価値のある内容。タフネストレーニングと血液中の化学物質まで言及しており、専門外だとやや難解だが、内容を深みのあるものにしている。
<br />理論化しにくい分野をここまで分析し、数値化、トレーニング理論として本にしてしまう所は、舌を巻く。英語で原本にあたれる人はあたってみては?
<br> 感情に支配されるのではなく、<br>・感情をコントロールすること<br>・ネガティブな感情のメッセージを受け取ること<br>・ポジティブな感情に切換えること<br>などの重要性を解説している。<br> <p> が、いわゆる、積極思考の本ではなく、トップアスリートのメンタルトレーニングの指導経験から得たメンタルタフネスモデルを基に、スポーツトレーニングと対比してメンタルトレーニングについて説明していて分かりやい。<br> <br> ワクワクした自分の人生のために、メンタルを強化したい人にお薦め。<br>