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獄窓記 ( 山本 譲司 )

 同じ著者の『累犯障害者』を読んで、本書を読みたくなった。きっと著者の人柄、客観的な文体に惹かれたのだろうと思う。 <br /> <br /> 感覚的にだが、本書は三つの内容からなっていると思う。 <br /> <br /> 秘書給与事件による逮捕、刑務所内の記録そしてT氏との関係 <br /> <br /> すべてにわたって客観的で、客観的であろうという自己との戦いが伺われる <br />また、入獄という体験をなんとかこれからの自分の人生に生かそうという態度もあちらこちらに見える。そして、読み応えがあるのが、看守や他の受刑者との関係だ。 <br /> <br />国会議員T氏が著者に関して行った発言、マスコミを通じて執拗に行われるのだが、それに対しての獄内での戦いもどきどきしてしまった。 <br /> <br /> 刑務所の管理の状況もよくわかった。著者は新しい自分を刑務所で発見したと思うのだが、自分としては、新しい自分を発見したいという思いより、このような読書体験が実地に役にたつことがないようにという気持ちの方がずっと強い。 <br /> <br />著者本人もまさか自分がはいるとは思っていなかったのだ。 <br />

 いわるゆ獄中記としては,おかしな偏見や感傷はなく,客観的に描写されている点が大いに評価できる。矯正行政の第一線で黙々と働く刑務官の姿が浮かんでくるようだ。今日の行刑が抱える諸問題をさりげなく,しかし,的確に指摘しており,刑務所に興味を持っている人に読んでもらいたい良書である。

何で実刑だったのか?という疑問からこの本を読んだのだが<br>判決文がバッサリと省略されているので、<br>どの辺りがT氏と違って実刑なのか?という所は結局分からなかった。<br>省略が意図的だとすれば、執行猶予がつかない事実が<br>伏せられてるのか?とも少し疑いたくなる。<br>しかしこの本を読むまで、T氏よりかなり悪質な詐取行為を行っていたという誤った情報を鵜呑みにしていたので、それが誤解だったことを知って無責任なマスコミの垂れ流し情報を信じてしまう恐さを感じた。<p>どこまでも自責の念で自らを追い込もうとしてる筆者と<br>政争の具にされただけで私は悪くないと開き直っていそうなT氏とのコントラストが両極端で、人生色々。<br>いわゆるクソ真面目にひたすら反省しているこの本の中の筆者と実像が全く同じではないだろうし、トータルな能力や人間的な魅力は本を読んだだけでは分からないのでどちらかを肯定するわけでも否定するわけでもないが。<p>繊細で細やかな描写が女性的で、筆者に抱いてたイメージとは文体が全く違った。ストーリー展開や障害者で犯罪者の吐露する言動が、ずっしり重くて読み応えがある。<br>ハンディを背負った宿命と運命に翻弄されて社会の底辺に圧し込められた人々の地獄からの叫びを知る機会など、平凡に暮らしている人間には全く無いのでそれを世の中の人に伝えられただけでも、この本には価値があると思う。

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