読みはじめから、ぐいぐいと引っ張られて、気がつくと時間が経つのを忘れていました。
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<br />主人公のジャマールとザラが初めて出会うまでが短く、なおかつ状況が緊迫しているので、ドキドキしました。
<br />出会ってからの、二人の心が揺れ動く様は素晴らしい!
<br />スルタンに所有権があると知りつつ、屈服しないザラを欲しくてたまらないジャマール。
<br />彼は気づいていなくても、すでに心はザラに奪われていたんでしょうね。
<br />対するザラも、敵の男を憎みこそすれ愛するわけには行かない…でも、惹かれてしまう…
<br />葛藤する二人が、もどかしくもあり、切なくもあります。
<br />時代物ですから、捕虜であるザラをジャマールの元から父親が助け出したり、スルタンに捕まったジャマールをザラが脱出させたり、とにかく波乱万丈!
<br />頁をめくるのが待ち遠しくてたまりませんでした!
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<br />当時、女が男の所有物であったモロッコで、一人の人間として対等でありたいと願ったザラの気高さには共感。
<br />何よりも、どんな女性でも意のままにできるはずのジャマールが、ザラに出会ってからというもの、ハーレムの内妻たちにすら関心がなくなったことが一番感動!
<br />傲慢な美貌のシークが、こんなにも一途に愛してくれるなんて…。
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<br />「君を奴隷にしたけれど、奴隷にされたのは私だった」
<br />ジャマールのこの言葉が、彼の愛の深さを物語っています。
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<br />また読みたくなりました。
傲慢で独占欲の強いヒーローという「シーク物」の醍醐味がいっぱい詰まった作品です。
<br />モロッコ王国の君主からの信任厚いシークであるヒーローは君主の命で、キャラバン隊を襲う一族の討伐に行くことに。そこで彼は一族の長の娘であるヒロインと出会います。美しい美貌の戦士であるヒロインにヒーローは惹かれるのですが、ヒロインは自分の許婚を殺したヒーローを許せません。とりあえず、ヒーローは彼女を奴隷として自分のハーレムに連れて帰ります。ハーレムで自分の持てる全ての技を駆使してヒロインを口説き落とそうとするヒーロー。憎みつつも魅力的な彼に惹かれていくヒロイン。しかし敵同士という事実がどうしても二人の壁となります。禁断の恋に悩む二人の切ない感情は、やがてお互いのためなら死すらも受け入れるという強い愛情へと発展していきます。まさにこれぞロマンスの醍醐味!グイグイと読み進めるのを引きつけてくれました。
<br />作中に多いラブシーンは、ヒーローのヒロインに対する傲慢で独占欲の強い愛し方でさらに過激なものになっています。さらに奪還劇や脱走劇まであったりするので読み始めると止まらない!夜更かし必須の面白い作品ですよ。