考えてみれば一昔前まで言語学者が望んでも想像もつかなかったように膨大な言語データが検索エンジンによっていまや一台のパソコンで処理できるようになった。しかし本当にそれらのデータを十分有効利用できているかという疑問がある。<br> 本書ではこのような言語データの処理法を非常にわかりやすく示しておりためになる。広く言語研究者、教師に勧められる。
例えば、何か調べ物をしていると分からないフレーズや文法、スラングなどにだれでも一度は何らかの形で直面すると思う。そういったときにどのようにグーグルを利用すれば一番効果的なのか。そういう疑問に手っ取りばやく答えてくれる本。
Googleを使って、インターネットを丸ごと表現辞典に変えて<br>しまおう、というのがこの本のコンセプトです。<p> 日英翻訳をしていると、「ネイティブは本当に英語でこんな言い方をするものだろうか」と首をひねることがよくあります。<p> そうした場合に、既存の表現辞典が役に立つこともあります。たとえば研究社の「新編英和活用大辞典」などは大変優れた辞書です。<p> 辞書は、規範的な用法を列挙してくれます。しかし、語彙と文法において誤りのない文章が、さて本当に英語らしいか、という疑問には、多くの場合答えてはくれません。<p> もしこの本に載っているテクニックを知らなければ、あるいはGoogleがなければ、そうした場面で出来ることといえば、ネイティブスピーカー、または同等の英語力をもつ人間に聞くことくらいしかないでしょう。<p> 翻訳において経験がものを言い、熟練者と初心者の間に、にわかには埋めがたい差が現れるのは、そのような場面であると思います。私自身も、この本を知る前は、調べ物をする能力と、経験によって磨かれる能力は全く別次元のものと思っていました。<p> しかしこの本のテクニックを使えば、「調べ物」と「経験」の間の隔たりがかなり縮小されると思います。<p> 語句の途中にワイルドカードを指定する方法を使えば、想定可能なすべてのコロケーションについて、実際に英語で使われているかどうか検証できます。さらに、その妥当性もヒット件数によって判断できます。<p> また、サイト指定・国指定コマンドや特定文字列の除外コマンドを使えば、検索対象を英語圏の官公庁や学術論文のサイトに絞ることが出来、インターネット上の情報の信頼性という面でもさほど問題が生じません。<br> <br> この本によって翻訳者の調査活動の意義が変わり、その範囲が飛躍的に拡張したと思います