ここでの中沢氏の話は非常に面白い、いや彼の話はいつも本当に面白い。
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<br />しかし読後なるほど色々なエピソードは面白かった、それで最終的には何が言いたいのだとなると話は別だ。
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<br />本書は講演録を中心にまとめた本で確かにある程度読みやすい、しかしいつもの事ながら読者には「ほぉ〜なるほど」で終わってしまう本でもある。
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<br />いささか言葉は厳しいが、中沢氏の言説はいつも易きに終わってはいないだろうか?
<br />「対称性人類学」「芸術人類学」という大風呂敷を広げたのはいいが、それは果たして「学」なのだろうかという疑問が残る。
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<br />中沢氏が「学」のフィールドで何かを究めようとしたことなど今まで無かったし、これからも極めてあやしいと言えば言い過ぎだろうか。
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<br />私のこういった意見は中沢ファンにとってはかなりの少数派であることはもちろん自覚している。
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<br />芸術人類学研究所という機関まで設けているのだから、是非ともそれに相応しい活動を期待したいと思う。
<br />本書は著者が名作『カイエ・ソバージュ』シリーズに続き
<br />「対称性知性」をキーワードに
<br />ヒトとヒトの営みを解いていこうという意欲的な書である。
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<br />講演記録などを繋ぎ合わせた構成のため
<br />氏の他の著作を読んでいないと、一貫した主旨は掴み難いが
<br />或る一歩を踏み出していることだけは確かだろう。
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<br />荒削りな部分がないとは言わない。
<br />しかし知的好奇心には十分に応えてくれる刺激に満ちている。
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ずっと楽しみにしていた中沢さんの新刊、芸術人類学を読み終わりました。
<br />2003年から2005年にかけての講演記録や文章をまとめたものになりますが、「カイエソバージュ」シリーズ、「精霊の王」、あるいは「アースダイバー」などと同じ、一連の流れを汲む内容で、大変興味深く、かつ面白かったです。レヴィー=ストロースの「構造人類学」の先としての「対称性人類学」そして「芸術人類学」によって、未知の思考の領域を開こうという中沢さんの宣言とも言うべき本であると思います。それぞれ、講演などから起こしている文章が多いので、大変読みやすく、内容も気持ちも良く伝わってきます。
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<br />カイエソバージュシリーズを読んでから、どのようにこの学問が先に進んでいくのだろうと楽しみにしていたのですが、なるほど「芸術人類学」かと非常に納得しました。また、人間の心の進化の解明は、まだまだこれからなのだなとこの本を読んで痛感しました。内面の世界を明らかにしていく学問が、きっと今後の人間の未来に一番必要な学問となるのでしょう。「芸術人類学」の今後に期待しています!
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<br />この本もまた、遊女asomeが心からお勧めしたい一冊です。ぜひお読みになってみてくださいね。
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