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| 日本の200年〈下〉―徳川時代から現代まで
(
アンドルー ゴードン
Andrew Gordon
森谷 文昭
)
よい意味でよくできた教科書。バランスの取れた(あるいはケチのつきにくい)立場、年代記と各トピックの振り分けがうまく組み合わされ流れをつかみやすい構成、印象的なエピソード、著者の寛く目配りのきいた史眼。とくに昭和からを扱った下巻は、著者の専門分野に近いこともあり自家薬籠ということばがピッタリだ。自国アメリカの歴史にもほどよく釘を刺す(こうしたユーモアを「自虐」とか呼ぶセンスは何とかならないのか)距離感は、世界中の読者にも好もしかろう。日本を特別視するのでなく、世界全体の近現代史の一つのヴァリエーションとして日本近現代史を位置づけようという著者の試みは、じゅうぶんな説得力を得ている。果たしてこれと比較されることになる「つくる会」はどう反撃するのか、楽しみである。
<br />
<br />アメリカなど、日本以外の国の大学生レベルを対象に書かれているようだが、読みやすい部分は副教材や資料として日本の中高生、いや学生にも大人にも読んでもらいたい。なにしろ現代史がまるっきり分からないのが、日本の国史教科書(というより同時代への自由な評価や批評を教科書に許さない検定制度そのもの)の大きな欠点である。それを補う意味でも、これからの基本文献のひとつとして読まれてほしい。
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