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小論文を学ぶ―知の構築のために ( 長尾 達也 )

私は理系だったのだが、私立文系の大学を受験するために小論文が入るという事で本書を選択した。 <br />もともと読書習慣が無かったので、この本に書いている事が中々理解出来ず、 <br />辞書を引きつつ四苦八苦しながら読み進めた。 <br />そのお陰もあり、小論文の答案も最初は小論文って何?作文とどう違うの?と思っていたのに、 <br />一応ある程度の形を制限時間内に出せるようにはなることが出来るようになった。 <br /> <br />この本の魅力はそこに留まらない。 <br />本来理系であまり哲学的なことへの興味がなかったのだが、 <br />本書で受験期に勉強した事がきっかけとなり、物事をごまかさずに深く考える習慣がつくようになり、 <br />理系の大学生が退屈する哲学系の講義も興味を持って受けることが出来ている。 <br />この本は1冊の受験参考書というだけには余りにもったいなさ過ぎるのではないだろうか。 <br />実際に著者も自らのHPで本書のことを「6対4ぐらいで教養書」と言っている程である。

人文学の入門書といってもいい。 <br />哲学、科学の成立からその変遷、 <br />現代において主流となっている考え方が <br />分かり易くまとまっている。 <br /> <br />そりゃーこれだけのこと勉強すれば <br />大学入試レベルの小論文なんて無敵でしょうよ。 <br />高校生にはぜひ読んでほしいし、 <br />有象無象の大学で、教養といいつつ全く教養してない <br />しょーもない講義の100万倍以上の価値があると思う。

 受験生時代、本書を読んで哲学に関心を持ち哲学科に進んだ私であるが、それから四年経って評価を下すなら、確かに内容は刺激的だが偏りも激しく、中でも槍玉に挙げられているデカルトは三年もの間食わず嫌いになったほどである。著者の厳しい筆法そのままに試験に挑めば間違いなく落ちるだろう。要はこの本から刺激を受け、自ら判断する考える力が身に付けば理想的である。刺激という点では良書に間違いない。<br> 他のレビューでは触れられていないようだから紹介しておくが、実はこの本の真髄は何より第一章の起承転結法の伝授にあるように思う。「転」の部分に本論と結論が入り、「結」の部分は文全体を落ち着けるものに過ぎないという解説は非常にわかりやすい。じっくり読めば確実によく身に付くし、序論、本論、結論の構成についても理解が深まるというものである。小論文の場合字数が少ないので、構成が良いだけでも印象は大きく変わる。それだけに重要なのである。

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