もともとは初心者の知人の為に買った本で私自身は読図にそれなりに経験はあったのだが、著者のナビゲーションに対する豊富な知識や考え方が本当に勉強になった。自分で「わかっている」と思っている人にも是非読んで欲しい本。もちろん初心者に対する入門としても過不足のない解りやすい説明がなされており、アウトドアを趣味とする人ばかりでなく遠足などで引率の責任を負う学校の先生などにも読んで欲しい。読図術の定番と言っても過言ではないと思う。
この本をどう生かすか、自分自身興味深い。――――ことし1500メートルの雪山に4たび入っているが、夏に親しんだ同じ山とはとても思えない。厳しい気候、手がかりとなる事物が極端に少ないことと、はげしく体力を消耗すること、へたをすると春腹ペコの熊の餌食になりかねないと感じてしまう精神状況。――――それらの合い間に読んでみたが、単独行・はじめての雪山という状況下で感じるのは、(類書にも言えるのだが)これらの技術を駆使したひとつの山行で一冊の本をまとめてほしいということ――――実際のトレッキングの現場で、著者が如何に考え、何を見て、どんな判断を下したのか。もっと詳細な写真や地形図などで知りたいと思った。あっちこちらの事例からもっとも適切な情報が抽出されていることは理解できるが、どーも引き込まれるような迫真力は無かった。――――しかしそれらのことは読者にもとめられているのだろうけれど…
山歩きをする人なら、必ずと言っていいほど道迷いの経験があるだろう。こっちだと思って進んだら道がなくなってしまったとか、目標物がいつまでたっても見えてこないとか。<br>本書は、なぜ道に迷うのか、迷わないようにするためにはどうしたらいいのか、迷ってしまった場合はどう対処すればよいのかを、豊富な実例を地図や写真とともに教えてくれる。<p>もしあなたが地図もコンパスも持たずに山を歩いているとしたら、持っていても今ひとつ使いこなせずにいるとしたら(誰かに連れて行ってもらう山歩きだとしても)、ぜひ一読をお勧めする。<p>そしてできれば地図から地形を読み取る方法も知っていた方がいい。私は「2万5000分の1地図の読み方」(平塚晶人)を読んでいた分、理解度がアップしていたと思われるからだ。読む順序はどちらからでも良いと思うが、地図自体の読み方は別の本から、地図を使って道迷いを防ぐ方法は本書からGETして、安全な山歩きを楽しまれたい。