よりみちパン!セシリーズの中の一つの本ですが
<br />このシリーズの中では
<br />この本がいちばんヒットしました。
<br />他の本は、「中学生」に向けて書いてあるというより
<br />中学生ぐらいの子供を育てる
<br />「大人向けの本」だったと思う。
<br />「中学生にはこう伝えるんだな、ということを学ぶ本」というか。
<br />それはそれで、子供のまま親になる人が多いと感じられる
<br />いまの世の中で、役に立つとは思うのですが
<br />この本の場合は、若い新任の先生の話を聞く
<br />中学生の気持ちになって、話に引き込まれて新鮮だった。
<br />ラストはちょっと、わたしにとっては熱すぎて
<br />「ウギャっ」とも思ったが、
<br />それでも、書き手が若い+他にない写真で、
<br />とてもよい本だと思いました。
著者が冒険家であるというイメージからくるものなのでしょうが、世界中での
<br />達成した偉業についての本だと思っていたのですが、本書はそのようなところに
<br />力点は置かれておらず、むしろ各冒険を通して、著者の精神的発達を通して
<br />読者へ『「いま生きているという冒険(人生)」で何を成し遂げていますか?』と
<br />やさしく問いかけているような印象を受けました。
<br />冒険の内容も遭遇する危険を乗り越えるだけの話ではなく、著者が一歩
<br />引いて冷静な視点から自分の行動を観察し続けているところで書かれている
<br />ので、むしろあっさり目の文体ともとれます。冒険中のかなりの枚数の
<br />写真が挿し込まれており、これもとても著者の視点を反映しているとも
<br />捕らえることができ、写真家としても通じる冒険家といえると思います。
<br />気持ちが萎えそうな時、困難へ立ち向かうすべての人へお勧めですが、
<br />著者が生きていく中でいちばん大切だと考える「それでも生きること」
<br />という言葉が私たちのこころにストレートに訴えてきます。
凡人ではできないようなことがひょうひょうと書かれていることに少々励まされます。日常の延長、多くの日本人がしている旅行の延長で、筆者の体験と少しでも近いような体験に一歩踏み出せたらどんなに世界が広がることだろうかと。
<br />筆者が「精神の旅」「想像力の旅」を提唱するに至った過程も分かりやすく説明されており、「心を揺さぶる何か」に向かいあうことの重要性に説得力を感じます。