日本には、なんだかんだと色々なブームがあるけれど、恋愛のブームに勝るものはないよね。
<br />ipodも、スマップも恋愛には勝てない。
<br />でも、恋愛が人生の必要条件!なんて言うと、おいおいそれは違うだろう。と、伏見さんはズバッと言う。
<br />僕らが色んなことで、じぶんを満たすことの出来る感情で、今、一番の流行が“恋愛”だということ。
<br />何が上で、何が下と言うことではない。恋愛がすべてを優越するわけではない。
<br />人にはもっと熱くなれることだってあるし、
<br />そもそも恋愛がこんなに、お手軽に大衆化したのはここ数十年なのだ。
<br />だけれども、、とも伏見さんは言う。
<br />他のどの感情よりも、恋愛を尊いと思ってしまうのが現代の“僕ら”だということ。
<br />手取り足取りの男子の恋愛バイブルとなるだろう。
<br />いやー、おもしろかった!
思春期の人たち向けに書かれた一冊だが、いろいろな世代の人たちにも参考になる内容だと思います。
<br />『結婚は「恋愛」を日常の中に着地させ、別のものとして定着させるのだ。』『人は、そのように、孤独を知って初めて、他人との関係を編み上げていくことの意味を考えるし、愛することの重大さを心に深く刻む』
<br />だいぶ以前に、知り合いと飲みながら、「恋愛と結婚は別物か?」というテーマで意見を闘わせたことがある。私は「別物」という意見だった。自分の両親を間近に見て生活してきて、そう思ったわけです。その意見は今でも変わっていませんが、やはり現実を見据えながら、自立して生きていくことが大切だと思います。
男子のための、とタイトルにありますが、女の私が読んでも納得のいく恋愛論でした。漫画『NANA』について書かれている部分によく表れていますが、恋という感情の一言では言い表せない繊細なところをていねいに分析しているところが、よかったです。
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<br />失恋について、「打つ手がない…時間の経過によって薄皮を重ねるように心の傷をふさいでいくしかない」と表現されていたのに、共感しました。中途半端に夢を抱かせない厳しい言葉にも、愛情が感じられて、伏見憲明さんらしい誠実な文章だと思いました。
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<br />さすがゲイ作家だけあって、女心にも男心にも精通している! 子供向けというより、大人でも上級クラス向けかもしれませんね。