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| アナーキスト人類学のための断章
(
デヴィッド グレーバー
David Graeber
高祖 岩三郎
)
レーニン型社会主義が「勝利する」前の19世紀末から20世紀の初頭にかけては、さまざまな「社会主義」運動が叢生した。修正社会主義のみならず、アナルコ・サンディカリズム、評議会共産主義運動、相互扶助社会主義等々・・・。レーニン型社会主義が崩壊し、グローバリズムが席巻する現在は、そうした1世紀前の時代の螺旋状の回帰の時代なのかもしれない。著者のスタンスは、反グローバリズム運動を担う諸運動のなかに、アナキズムの「要素」を見いだし、それを現代オルタナティブに鍛え上げていくことにある。文化人類学者としての知見を駆使しながら、「国家無き状態」はありうるということを示し、また高踏な理論によりかかるのではなく、より経験に即した「下からの」理論構築をすることで、マルクス主義とアナキズムの「社会革命的」要素との「折衷」を図っていくこと。著者の言っていることには何ら「新しい」ものはない。それは、運動そのものの中に価値を見いだし、それをひたすら教訓化しようとしてきた真面目な試みのなかに、つねに萌芽としてあったものを明らかにしている「だけ」なのであり、そこにおいてかけがえのない意義があるのだ。
<br />だから、この本のなかでグレーバーが使っている「ターム」を、またぞろ「新基軸」として評価し、輸入するのはやめるべきである。各々の経験に即して再言語化していくこと、が本書の趣旨に最も適うとおもう。
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