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| いま、殺りにゆきます(2)
(
平山 夢明
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本書は人間の奥底にある狂気を披瀝する。
<br />別れ話を切り出し復讐される女。
<br />エレベーターで見知らぬ男に襲われる女。
<br />コンビニ店員に自宅に押し入れられる女。
<br />女を襲った男たちに理屈はない。狂気である。
<br />著者はその狂気を鋭利に克明に描き出す。
<br />本書の題材は現代に起こる事件を扱ってるだけに
<br />その狂気さはリアルで巨大な恐怖を感じる。
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<br />時代に合致した最高のホラー小説。
<br />「いま、殺りにゆきます」はそのひとつと言える。
<br /> もはや日本怪談を代表する存在となった平山夢明。彼のホラーは幽霊話より現実の狂気に重きを置いた話が多く、怖い。
<br /> 本書はその中でも殺人未遂の話に焦点をあてたもの。彼の「東京伝説」をソフトにした感じであり(平山ワールドは、殺人程度では「ぬるい」のであり、殺人を遥かに凌駕する悪夢の様な話も満載である)、平山ワールドの初心者で怪談を越えた異世界につかりたい方にはぴったり。あと、平山は、文章も怪談の専門家ではずば抜けており、そういう意味でも楽しめる。
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