最近のうさんくさい一般向け脳科学書の氾濫には、神経生理学を多少だが学んだ私としてあまりいい気分がしなかったので、本書で著者が、「国際的な専門雑誌に論文を発表していない人間がいい加減なことをいっている」というあたりは、さすがは久保田先生、彼じゃなきゃいえない言葉だよなと思った。しかし、かといって、本書が学術的に問題ないかというと、どうかなあと感じてしまう。ちょっと久保田先生、自説にこだわって筆が滑っているというか、最近の流行にご立腹で暴走しているというか・・・。
<br />まあ、脳科学について書かれているものは、新書本レベルではあまりまじめにとらえないほうがいいでしょう。脳についてきちんと学びたければ、Bear の "Neuroscience" とか、Kandelの "Principles of Neural Science" あたりを根性入れて読みましょう。そのほうが安全です。
脳を鍛える川島氏、海馬の池谷氏、ゲーム脳の森氏、そして、養老氏にたいしても水戸黄門のようにちくりちくりと指摘する。
<br />なんだか複雑すぎる脳研究の今について一般向けの啓蒙書。
子どものやりたいことを伸び伸びやらせることが善だ、我慢させることは悪だ、という風潮がありますが、それは反って子どもの脳を萎縮させてしまうのだそうです。その瞬間の情動に動かされたり、今だけの安楽さに誘われるのではなく、いったんは我慢して将来に備える。そういう訓練も脳を鍛えることになるのだそうです。脳はGoだけじゃ育たず、NoGoも訓練しなくちゃいけないことがわかり、とても面白かったです。