構造改革で地方は悲鳴をあげているのに、東京は「規制緩和」の追い風を受けていまだ成長と拡大を維持し続けていると思っていたら、どうやら違うらしい。「ホットスポット」がある一方で「コールドスポット」があるという著者の指摘は鋭い。
<br /> 超高層マンション、監視カメラ、記号建築、住宅資産のデフレ、墓地空間など、扱っている問題は多岐に渡るが、著者の言わんとしていることは社会・空間の差異は豊かな多様性を生むのか、分裂をもたらすのかという点に集約される。
<br /> 豊富なデータと文献により格差社会が空間的にいかに現れているか、ていねいに淡々と実証されていくのが小気味よい。納得がいく一冊だ。
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都市はたしかに発展したがその制御ということに考えが及ばぬうちに
<br />なおも発展していく。しかし2006年現実も確かに発展しているが
<br />人口の分散に失敗している。この本を読んで政治経済にも、
<br />目をむけなければなにもできない事に気づき、少なくとも日本人が
<br />安穏な暮らしをささやかでも営めるように、つまり一般人が
<br />立ち上がらなければならないということに気づいてくれるとありがたい。
<br /> ぜひ読みといてほしい一冊である。