人がなぜ矛盾をはらんだ行動をしてしまうかを双曲割引の理論でもって説明している。理論は完璧のような気がするが、その著者の言っている双曲割引の信憑性を裏付けるデータがほしかった。というのも、矛盾した存在である人間の愚行は特にこれだけのページを読むまでもなく一般人にも周知の事実すぎて、あまりにもあたりまえのこと読まされすぎた感があったからだ。しかし、この理論から、さまざまな可能性を予見させる考え方は大変おもしろく、一般的な読み物として結構おもしろいと思う。それから、訳者の山形氏は訳者としてすごいのかでネットの自由は進化するを読んでも感じたが、文章が大変ポップな感じがして、こういう分野の本を読むのに肩がこらずによめる感じもとてもいい。本論を読む前に、訳者の解説を読んでから読むこともお勧めする。
双曲割引曲線でここまで人の心理が説明できるとは驚きです。
<br />個人的には、進化理論、複雑系理論と同じぐらい驚き、かつ納得させられました。
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<br />心理学・経済学といった社会科学の分野においては、
<br />現在も通用する様々な理論を統合するだけの力を持つ理論であると共に、
<br />これから避けて通ることのできない理論になるのだと思います。
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<br />また、これだけ凄い理論だと、更なる期待も出てきてしまいます。
<br />複雑系理論で扱うべき乗則や自己組織化との関連・相違や、
<br />この理論の脳科学的、進化理論的な裏づけをもっと知りたくなります。
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<br />あと、訳者の解説も相変わらず鋭く、かつわかりやすいものになっています。