日本の半導体業界の過去、現在、未来を知る上で大変参考になりました。組込みシステムの開発も半導体技術・業界の流れという大きな視点でとらえると新たな発見があったりします。本書は業界の動向だけでなく半導体技術・製造技術についても解説してますが、図が白黒のせいか、正直言って、何を説明しているのかよくわからない部分もいくつかありました。そこには目をつむるとして、この本のおかげで大きな流れを把握することの重要性を認識させられました。
半導体業界を網羅的に解説した書籍であり、半導体自体の仕組みや構造についても説明がなされております。半導体業界を対象とした解説本は、<br>他にもいくつか存在しますが、本書は以下の点で優れていると思います。<p>1)文章が読みやすい<br>本書の著者は、半導体産業新聞編集部(及び編集長)です。文章のプロだけあって、非常に読みやすく、スムーズに頭の中に入ってきます。全<br>275ページの本書は、イラストだけで埋め尽くされているのではなく、相当部分を文章での説明に割いておりますが、流し読みであれば1時間<br>程度で読み込めると思います。そして、流し読みであっても、概要がわかるような端的な文章です。<p>2)イラストがわかりやすい<br>2~3ページに1回の頻度で挿入されているイラストが、本書の読みやすさをさらに高めています。マンガのようなイラストであるため、好き<br>嫌いはわかれるかもしれませんが、わかりやすいのは確かです。<p>3)半導体の仕組みもわかる<br>このような書籍の多くは、業界の構造や動向のみに焦点を当てているのではないでしょうか。一方で、技術書を読めば半導体の仕組みや機能、<br>構造などを理解することができるかもしれませんが、総じて難解です。本書は、半導体業界の構造や動向だけではなく、半導体の仕組みや機能、<br>構造なども紹介しています。さらに、半導体の製造工程や流通経路なども詳述しています。業界の構造や動向のみに関心がある方には、不要な<br>情報化もしれませんが、半導体関連の情報を短期間に把握したいという方にはお薦めの書籍です。