こんな凄い画家が日本にいたのか、というのが第一印象だ。
<br />今の日本人の心象風景をこれほど的確に表現した芸術家はいないのではないか。
<br />彼の絵を見ていると、なぜ日本人があまり子供を産みたくなくなってしまったのかがよく分かる。
<br />あまりに無意味に殺伐とした自分の人生を顧みて、この世に自分の血を受けた分身を送り出す気が無くなってしまっているのである。
<br />彼に天啓を与えたのは、天才マンガ家、宮谷一彦かもしれない。
<br />が、根本にある感性と批評性は、全く現代的なものであり、独自なものだ。
石田君 ありがとう。
<br />あなたは31年間を生ききったのですね。
<br />ページをめくっていくとあなたがどんどん死に向かっていくのがわかりましたよ。
<br />でも、今は千の風になって山々を、海原を自由に飛び回っていることでしょう。
<br />ご冥福をお祈りいたします。
「新日曜美術館」と週刊ブックレビューを見てこの本を読んだ。石田徹也の痛みは、今、生きているすべての人の痛みだ。ヨーロッパの展覧会では、この絵の前で泣いた人がいるというが、よくわかる気がする。亡くなったあとで作品と出会ったこと、石田徹也に大して申し訳ない気がする。