本書は、ゆるすことで過去にはとらわれずに生きることができる、と説きます。ゆるすということは、相手の行為を正当化することでも、認めることでもない。ただ、過去を責める自分をやめること。そうすることで、自由と安らぎを手にすることができる。
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<br />私はこの本を読んで、価値観や物の考え方が変わりました。過去を引きずり責めていては前に進めない。私はこれまで、人や自分を責めて、それを繰り返してきました。そして心の中にゴミ箱をたくさん作っていました。本書はそんなゴミ箱を片付けてくれました。人や自分を責めたりする自分を嫌いになってしまう人には、ぜひ読んで欲しいです。
わたしにはどうしても許せない人がいて、10年近く経つのに、記憶がフラッシュバックするたびに怒りで目の前が真っ暗になり、その人を思い出すと朝から一日元気がなくなる、という人が何人もいますが、この本を読んでとても自分が楽になりました。
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<br />「恨みは人間から生気を奪う」とはその通りで、過去に起きたことを思い出してはむかついている心理状態がなんら本人に益することはない、ということを、大きめの活字で実に分かり易く書いてある名著です。納得できます。
<br />人を恨み続けることのしんどさから一瞬でも解放されたい、と懇願している人にはお勧めです。
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<br />著者は本の中で「ゆるすということは自分が楽になるために絶対に必要なプロセスで、過去のひどい行い、誰が見ても間違っている行いを正当化する行為ではない」と繰り返し強調しています。誰かにひどいことをされて傷ついたとしても、その行為を認めなくても、受け入れなくてもいいのです。ただそのことを思い出して、いちいちむかついたり、腹を立てたり、復讐をイメージしたりするのを「一切、やめる」だけで、自分が想像すらできなかったほど楽になるでしょうと説明しています。
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私は熱心なキリスト教徒でも仏教徒でもない(おそらく皆さんと同じような)平均的な日本人です。
<br />私の場合はとくに宗教アレルギーのようなものはないので落ち着いて読めましたが、本の中に「神の愛」というような言葉がときどき出てきますのでアレルギーのある方は内容に共感するのが難しいかと思います。
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<br />私としては「ゆるさない」ことによって人生にどんな障害が現れ、「ゆるす」ことによってそれらがどのように取り払われるのかを具体的に知りたいと思って読み進めましたが、本書の内容は「とにかくまずゆるしてみましょう。ぜひ実践してみてください。そうすればわかります」というような説明が中心でした。私の期待とはかなり違った内容でした。
<br />あとは、あなたが抱えているかもしれない「ゆるせないこと」の例、具体的に「ゆるす」ことによって人生が変わった方々の具体例などがあります。自分では「ゆるせないことなんてない」と思っていても、実は心の奥に抱えていたりするので「ゆるせないことの例」は使えそうです。
<br />全体の2割ぐらいがキリスト教っぽい話で、4割くらいが「ゆるしのある人生」の具体例、2割が「ゆるす」ことのメリットの説明、残り2割が「ゆるしかたのテクニック・手順」といったところでしょうか。
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<br />私としてはあまり惹かれない内容が8割でしたが、1割は「読んで良かった」という内容があり、”発見があれば儲けもの”という気分で読まれればよいかと思います。
<br />あまり期待が大きいとがっかりするかもしれません。
<br />日本人向けには野口嘉則さんの「鏡の法則」の方が宗教色がかなり薄い(内容は近い)ので、そちらがよいかもしれません。