わたしにはどうしても許せない人がいて、10年近く経つのに、記憶がフラッシュバックするたびに怒りで目の前が真っ暗になり、その人を思い出すと朝から一日元気がなくなる、という人が何人もいますが、この本を読んでとても自分が楽になりました。
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<br />「恨みは人間から生気を奪う」とはその通りで、過去に起きたことを思い出してはむかついている心理状態がなんら本人に益することはない、ということを、大きめの活字で実に分かり易く書いてある名著です。納得できます。
<br />人を恨み続けることのしんどさから一瞬でも解放されたい、と懇願している人にはお勧めです。
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<br />著者は本の中で「ゆるすということは自分が楽になるために絶対に必要なプロセスで、過去のひどい行い、誰が見ても間違っている行いを正当化する行為ではない」と繰り返し強調しています。誰かにひどいことをされて傷ついたとしても、その行為を認めなくても、受け入れなくてもいいのです。ただそのことを思い出して、いちいちむかついたり、腹を立てたり、復讐をイメージしたりするのを「一切、やめる」だけで、自分が想像すらできなかったほど楽になるでしょうと説明しています。
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ひどいことをされた場合、簡単に相手を許すということは出来ないと思います。
<br />「右の頬を打たれたら左の頬を差し出す」などできる人はほとんどいないと思います。
<br />しかし、この本は許すことの定義を「許すことは、相手のの暴力行為などを認めることではない。心の中でせめぎ合う否定的な思いを変えること」としています。
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<br />「許す=相手の行為を認める」ではないんですね。
<br />そのことが分かっただけでこの本を買う価値がありました。
「ゆるすなんて絶対に無理」と思いつつ読み始めて、途中からだんだん「ゆるしたら楽になれるのかな?」と思いはじめて、読み終わったときには、気になった言葉をいくつか書き留めていて、少し気持ちが楽になっていました。本文中に「否定的な感情によって自分の体を痛めるのはそろそろやめにしませんか」という言葉があって、はっとしました。
<br />本当だなぁと痛感しています。
<br />何度も読み返して、ゆるすことを習得したいです。