本書は、ユニチャームの創業者である高原慶一朗氏がビジネスマン・経営者の心得について書いたものである。彼の信条が数多く並べてあり、例えば「成功の後には失敗が待っている」「やりたいことを探すよりもやるべきことに没頭せよ」「部下から学ぶ勇気・謙虚さが大切」といった具合いだ。タイトルの「理屈はいつも死んでいる」は、「理屈よりも現場・体験が大事だ」という彼の信条のひとつで、本書全体のテーマではない。
<br /> 本書の内容は、すでに松下幸之助などの先人が言っていることで、目から鱗という点はない。しかし、改めて言われると「最近、こういう気持ちを忘れいていた」と思わされる。
<br /> 現在、仕事のやり方や自分の方向性に迷いを感じている人にとっては、やる気を起こさせてくれる一冊かもしれない。尚、文字数が少ないので、2時間ぐらいで読破できる。
休日の早朝にざっと読んだ。
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<br /> 読後の印象はちょっと薄かった。生理用品の日本の雄であるユニチャームの創始者が どのような言葉を持つのか。その一点が興味だったので もう少し「強烈な」ものも期待していたのだが。
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<br /> 面白かったのは「生理用品」への考え方である。もともと 日本ではひっそり売られていたのに 米国では堂々と売っている。それをチャンスだと考えた著者の着眼が 今日のユニチャームを作ったという。
<br /> これは おそらく女性の社会進出の時期と重なったという 「時の利」がそこにあったのだろうと僕は想像する。その意味では ユニチャームも「時代の児」であったということなのかと思う。そういう重ね読みをして 初めて本書が生き生きと読めた。
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<br /> それにしても男性営業職が ナプキンをつけて 外出することで 自社製品の品質を確かめたというエピソードは凄い。そういうことをさせる社長のリーダーシップと言って良い。
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この本で参考になった箇所
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<br />1)好きな事を仕事にするより、すべき仕事を好きになった方が、実りは大きい。
<br />2)敗戦からまだ間もない頃、本田宗一郎さんがヨーロッパの工場視察旅行から、1個のクロスネジを拾って帰ってきたエピソードは有名です。それまで、日本にはマイナスネジしかありませんでした。マイナスネジは、手作業でドライバーを使って締めるほかない。しかし、頭にプラスの刻みの入っているクロスネジなら圧縮空気を使って機械で締める事ができる。
<br />3)たとえば、旅館に宿泊すると、食事は何時からです、入浴時間は何時からですなどと、一方的に通告されることがありますが、それは旅館の都合をお客におしつけているにすぎません。お客の都合に旅館側が合わせる。それが生きたサービスというものでしょう。
<br />4)大切なことは頭をひねっても出てこない。愚直にひたむきに、手足で考える人間になれ。
<br />5)積極的でリーダーシップに富んだ金太郎と多彩な能力を集め生かせる桃太郎、キジの情報収集力、サルの企画力、イヌの忠実な実行力を持つ集団としたい
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<br />読みやすく、分かりやすく、経営のツボを教えてくれる書籍です。この値段で購入しましたが、この100倍、いや1000倍の価値ある知恵を現場のたたき上げ著者より得たような気がします。