ヨーロッパ及び北アメリカの古典~現代建築、街並みを写真と文章で、各国別に紹介したシリーズの第1巻で、フランス、スペイン、ポルトガルが紹介されています。一般の観光ガイドと違い、エクスナレッジ社という建築に強い出版社からのシリーズだけに、決して有名観光スポットとはいえない建築・街並みも紹介されているのが特徴でしょうか。多くの建築・街並みが紹介されていますので、1枚あたりの写真スペースは小さくなってしまいますが、その建築・街並みの見所を押えたカメラアングルになっています。また、とりわけ紹介したい物件については、やや大きめのスペースが割かれています。また、写真以外に、4~5P程度のコラムもあり、各国の特徴を知ることができる本になっています。建築とりわけヨーロッパの建築に関心のある方にお奨めのシリーズです。
わたしは『ヨーロッパ建築案内』など、他のガイドブックも持っているが、この本の特徴は、建築のプロ向けの本を出版している出版社が、初めて一般向けに出したという点である。すなわち建築や美術の専門家たちが、フランスはじめ各国で見てほしいと思う、お勧めの建築を厳選し、テキストを書いてくれていて、それが難しくはなく、実にわかりやすい。たとえば『地球の歩き方』などプロが書いたものではないものと比べ、この本はただの観光スポットではなく、建築史的に重要で、しかも著者たちがこよなく愛している建築物を取り上げているのが伝わってくる。パリなど実際に住んでよく知っている人が書いてくれているものが、実現したのは素晴らしい。読んでいるだけでも実際に行ってみたくなる1冊である。