サイパン、グアム等、マリアナ諸島の日本軍が苦闘の末、占領され、それを足場にサイパンから本土へのB−29による空襲が始まりました。
<br />マリアナ諸島から飛来するB−29には、援護する戦闘機が航続距離の関係で付けられず、また、撃破されたされた機体がサイパンの基地までたどりつけず、洋上不時着による乗員救出は専ら潜水艦に委ねていましたが、そこで米軍が目をつけたのが「硫黄島」でした(もちろん本土侵攻の足場作りでもあり、日本側としては本土を初めて侵攻された場所)。硫黄島は戦闘機が本土へ援護する場合の航続距離到達可能地点であり、被害が増大しつつあったB−29援護にうってつけの場所でありました。
<br />本書は、その「硫黄島」で行われた戦闘の詳細録であり、この島での死闘が描かれています。本土防衛に命をかけた男達の最後に涙しました。
当時の戦争で結果的に占領されたとはいえ、それまでの島嶼攻防戦ではなかった多くの損害を米側に与えた戦闘として有名な硫黄島戦。<br>本書は著者からも判るように米側の記録を中心にその戦闘を記したものである。このため、戦闘員の描写もほとんど米兵のものに限られている。<p>しかし一方で、エキセントリックな表現がなく、その米側による攻撃の記述を見ると、日本側の被害への想像をかきたてられる。<p>文中にある双方の損害に関する記述を見ると、損害は米側が多かったかもしれないが、戦死者の数としては日本側の方が多い。そしてまだその多くの遺骨が収集されずにいる現状を考えると戦って亡くなった方々の無念を考えてしまう。
太平洋戦争でアメリカ軍が日本軍以上の死傷者を出した唯一の戦場だど書いてあったので、日本軍がどんな戦い方をしたのか知りたくて読む気になった。<br>アメリカ人が書いたドキュメント小説だが、どちらにも偏らず冷静な目で事実を書き表している。訳者の文章もうまく戦場の様子が目の前に浮かんできた。<p>読み進む内に、日本軍がどんな戦い方をしたかなんてどうでもよくなった。<br>何でこんなにまでして、人が殺しあわなければいけなかったのか、膨大な費用と労力をこんなことに費やす以外方法はなかったのだろうか。<br>絶対にこんな悲惨なことは繰り返してはならないと強く感じた。