子供の頃、水族館に行った私は、水槽を泳ぐ魚たちよりも資料室にあるガラス容器に
<br />納められた、保存液に漬けられた奇怪な形をした生物に釘付けになってしまいました。
<br />何とも言えない悪臭の漂う資料室に、祖母がたまりかねて、私は部屋から連れ出されて
<br />しまいましたが、どうやらそれは深海魚の標本だったようです。
<br />実在するHR.ギーガーの世界のようなどうすればこんな形になるか?という生物が
<br />たくさん出てきます。しかし深海魚の解説本はHR.ギーガーの本よりも少ないらしく
<br />なかなかお目にかかれませんでした。多数の写真とわかりやすいイラストで解説する
<br />この本は貴重な参考書です。
深海魚の写真が沢山載っている本です。<br />写真と詳しい解説が別のページになってしまっている(前半が図説、後半が解説と補足のイラスト)ので片手では読みにくいですが、写真を極力まとめて並べる事で印刷代をうかせた事もこの値段に抑えられた一因でしょうから、仕方ないかと思います。<br /><br />解説の文章が易しく、文体にも所々ユーモアもあり、素人に読みやすくなってます。素人の入門書として書かれています。値段も素人でも買いやすいように抑えたのだと思います。一般の人にも深海魚に興味を持ち知ってもらいたいという著者の、丁寧で真摯な姿勢が伝わってきます。<br /><br />子供にも安心して読ませられますが、漢字にふりがなはふられていないので、小学生以下の子供に読ませるなら解らない漢字を教えたり辞書を与えたり、子供の漢字理解力に応じたフォローが必要になる可能性があります。
子供のころ、魚類図鑑の深海魚のページに見入っていたような人には
<br />まさに待望の本です。
<br />多くの図鑑に載っている深海生物はほとんどがイラストか標本の写真ですが
<br />この本では海中にいる彼らの生の姿を見ることができます。
<br />全体の3分の1強を占めるカラー写真は本当に見事で
<br />妖しく美しい深海魚の姿は見ていて飽きません。
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<br />後半は代表的な深海生物のイラストと解説ですが
<br />1章は200m〜700mまでの生物、2章は700m〜1000mと
<br />読みながらだんだん深い所へもぐっていく構成になっています。
<br />一見奇妙な姿も、それぞれの環境に適応した進化だということが分かって
<br />とても面白いです