この本を読むと、本当に色々なことを考えさせられてしまいます。
<br /> 自己犠牲的に与えていくことの素晴らしさと同時に、その事によって、その子を駄目にしてしまっている(ヘンデルとグレーテルに出てくる「御菓子の家」のような危険性)。
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<br /> 色々な見方があると思いますが、転換点としては、「かんむり こしらえて もりの おうさま きどり。」という部分から、というところであると私は感じます。
<br /> この子は、木との関係の中で生きていたのですが、この子が王様となってしまったことで、その後の展開が始まっていくように思うのです。
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<br /> そして、この子は、成長して行くのですが(?)、一時的な満足(欲求の充足)を追い求めていくのですが、そのことによって大切なものを失っていきます。そして、彼は欲求の充足を追い求める生き方の中で、疲れ果ててしまいます。
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<br /> 今の日本、様々な物があふれ、様々な情報があふれて、人々の興味、関心を掻き立てるようなものがあふれています。そして、ついつい周りの人の事が気になって、自分自身を見失ってしまう危険性に満ち溢れています。そのよう中で、大切なものを見失うことなく、歩んで行きたいと考えさせられてしまいます。
1人の人間の興味や欲望が一生の間で大きく変わることが象徴的に描かれている点では面白い。
<br />しかし,木(自然)から人間が一方的に収奪していくストーリーの展開はいかにもキリスト教的。
<br />読んだ後にむなしさが残る本である。
PPMが歌ったPUFFという唄のようだなと思う。
<br />男の子はいつか大きくなりもはやPUFFとは遊ばない・・・。
<br />しかしこの本で、木はいつまでも待ち続け、いつまでも与え続ける。
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<br />親のようだなと思う。
<br />やはり、僕たちがいちばん信じたいのは、
<br />どんなときも、君のために全力を尽くすよといって、
<br />その通りにしてくれる存在だ。
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<br />僕はこれでも父親だが、子どもたちが心から
<br />僕のことを、いつだって自分の味方だ、と信じられるように
<br />祈り、努力していきたい。