カンファレンス形式を通じて思考プロセスを読み取ることができる。
<br />また外来に時間制限があることを踏まえてシマウマ探しを戒めるなど
<br />単なる教科書にとどまらない、現実的なアプローチを教えてくれる。
<br />ぜひ内科プライマリケアを志望する方には一読していただきたい。
注文してから届くまで,わずか2日間だったのに,私も多くの読者と同様に,本書の到着を待ちわびていた.職場に届いたら,家に帰るまでに待ちきれず
<br />に,通勤電車の中で開き,中学時代に将棋の解説書に夢中になっていた時と同様に,電車を乗り過ごしてしまった.
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<br />外来診療は患者さんとの対局である.一局ごとに命がかかる真剣勝負である.どう考えてその手を指したのか,多くの人にわかるような,プロの対局の
<br />大盤解説は何よりも勉強になる.
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<br />しかし,従来の医学教育では,外来診療の大盤解説は全くと言っていいほど行なわれてこなかった.いわゆるポリクリでも,大学の偉い先生と患者さん
<br />のやりとりを一方的に聞かされて,診察項目の絞込みの理由も全く不明のまま,なし崩し的に診察が行なわれた挙句,診断の当てっこが行なわれるの
<br />はまだいい方で,検査項目の議論に終わる場合もまれではなかった.かくして,外来診療の教育は,”職人芸”という,教育の貧しさをごまかす言葉に
<br />置き換えられて,放置されてきた.
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<br />本書が世に出たおかげで,今や大盤解説教育の何たるかが明らかとなった.願わくは,臓器別診療の分野に属する人々も,職業人としての誇りをかけ
<br />て,自らの領域でも,大盤解説書を出版せられんことを.
「見逃し症例から学ぶ日常診療のピットフォール」で注意深い病歴から診断がどれほどできるかを示してくれた生坂政臣先生の本です。カンファレンス形式で具体的な診断への道筋や、どこに落とし穴があるかをわかりやすく教えてくれます。知識がつくのはもちろんですが、カンファレンスに参加している気持ちで自分でも診断しながら読んでいくと自らの弱点がわかります。