産業再生機構・事業再生の実践。その第2巻は、企業再生の法律とネゴシエーションスキルを学ぶための好著。極秘裏に行うべきこと、広くオープンにすべきこと。双方について具体例をあげながら丁寧に説明されており、読者がネゴシエーションスキルを身に着けるためにも大いに役立つ。本シリーズは、第1巻のDDも、第3巻のTMの章も見事だが、この第2巻はステークホルダーの生の駆け引きの妙と、調整役としての手続主宰者の苦悩をを描写するものであり、債権者の立場で企業再生に向かい合う立場にとって、大いにためになる。全国の金融機関の担当者に読んでほしいと思う。なお、この巻では近年大きく変貌をとげた倒産手続の仕組みもコンパクトに説明されておりとてもよい。
・再生機構も店じまいに掛かっているが、折角「膨大な公的資金」を使用したのであるから「何をやったのか」を明らかにする責任が明確にされなければならない。
<br />・新聞や雑誌等で紹介されている部分は上辺のだけのものである。本書こそ「現場」が直面したした「血と汗と涙の結晶」を物語る書である。
<br />・過去「膨大な公的資金」を使用したプロジェクトは「総括」されることなく「だらだらと」継続していくという手段で国民に対する「情報開示」「説明義務」を先送りしてきた。
<br />・しかし、再生機構は期限を明確にして行動した稀なる「国策プロジェクト」である。この手法は今後も活かされなければならない。
<br />・処理した数字を残すだけでなく、本書にて現場の「ノウハウ」を残そうとしたことは「値千金」、まさに「暗黙知」の「形式知」化といえよう。再生担当者には一読に値する書である。
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