参考文献を読んでも分かるように、膨大な量の資料を駆使し、分析・解析している、近年まれに見る超大作である。著者のその気力たるもの、想像するに難いのだが、にも関わらず、なぜ星3つかと言うと、分厚さの割には著者の主張が少なかったからである。また、参考文献の偏向具合もちょっと気になった。
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<br /> それでも、今まで語られていなかったり、探し難かった手記や日記、文献を探求して解析してくれているので、今後戦後史を学ぼうとする人にとっては良いとっかかりとなると思う。
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<br /> 参考文献も一通り読破してみたい衝動に駆られるから不思議だ。
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<br /> 著者の主張は少ない方だと言ったが、最終章の結論は一読の価値がある。著者の『戦後と日本人』に対する見方が一発で分かります。
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<br /> とにかく、一読する価値はあるので、ぜひ手にとって欲しい。
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<br /> ちなみに、読了後の本書はメモ書きや傍線で真っ赤っかになってしまっていた。
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おそらく本書だけでも小熊の名前は歴史に刻まれるだろう。それほどの迫力
<br />と説得力をもった日本に久しくあらわれなかった名著。
<br /> ここまで集中して読んだ本は久しぶりだ。
<br /> その射程は丸山眞男から大塚久雄、江藤淳から鶴見俊輔と多岐にわたる。
<br /> 過去の言説をいかに扱えばよいのか。
<br /> そしてそのテクストに対する真摯な「読み」と、発見をまつ史料のいかに多いか・・
<br /> それを本書は教えてくれる。方法論を学ぶたい学生にもお勧めできる。
<br /> 小熊の「日本人の境界」「単一民族神話の起源」も必読であろう。
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タイトルの通り。
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<br />保守、革新の戦後主張の分かりやすいフレームワーク
<br />をしめしてくれたという利点は他でもいわれてる通り。
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<br />ただ、この本で僕が一番いいとおもったのは、
<br />自身で言い訳と分かっていながら、それでも
<br />言い訳を続けていかざるをえない戦後知識人の生き方の
<br />リアリティを自覚的に描こうとする作者の姿勢
<br />にある。
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