以前、上海を知ろうとしたときは、小むづかしい専門学術書、あるいは「上海もの」といわれる“一週間程度ホテル暮らしをして書き上げた通り一遍の上っ面”をなぜたような旅行記しかなかった。
<br /> ところが、この本は中国と上海史の基本をしっかりと押さえ、上海トピック、雑学満載。しかも、一つ一つの情報が生き生きしている。つまり、街の臭い(匂い)がはっきりわかる。おまけに読みやすい文章であるのがうれしいかぎり。
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<br /> そう、こんな紹介記が欲しかったんだ。これから上海を歩こうとする人にとって、この本は間違いなく「バイブル」になることだろう。
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<br />名著『上海歴史ガイドブック』の現代版とでも言おうか、
<br />日本人が最もイメージそそられる街、上海を
<br />モダン上海の時代と繋ぐこれまた名著である。
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<br />バンドや旧日本租界だけではなく、
<br />フランス租界の東の奥まで詳述してある点は
<br />ディープで、かつどれだけ評価しても足りない。
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<br />しかしクレイジーケンバンドが現在
<br />上海の持っていたモダンさやその退廃、
<br />いかがわしさも全て体現しているという分析は
<br />非常に納得感があった。
「上海ってスゴイ!」みたいなバブリーなノリの案内が多い中、このガイドは昔の良き古き上海をディープにガイドしていて好感を持ちました。著者の広岡さんの熱血的な文章もいいし、モラトリアム的人生が板についていそうな榎本さんの飄々とした文もいいです。木ノ内誠先生や安田智子さんの記事もディープ。全体的に少しゴチャゴチャしているところも上海らしい。上海に住む人には、絶対必読書。