術中死の影に隠された真相は何か？この深刻な問題に立ち向かうのは田口公平。
<br />問題の深刻さと、田口のキャラにはかなりの開きがある。それがこの作品の魅力と
<br />なっている。このキャラは、奥田英朗さんの作品「イン・ザ・プール」などに登場
<br />する伊良部医師を思い出させる。手術室という限られた空間の中での患者の死は、
<br />事故死か他殺か？その息詰まる緊迫感は、さすがに現役の医師であるという作者に
<br />しか書けないのではないだろうか。真実が絞り込まれていくさまは読み手をひき
<br />つけて離さない。そこでまた、田口に負けず劣らずのキャラを持つ、厚生労働省の
<br />白鳥が登場。彼もかなりの変人だが、その推理力はお見事。最後の最後まで楽しめる
<br />作品だった。
<br />
奇跡を起こす手術チームに訪れた連続術死。
<br />その原因を突き止める門外漢。
<br />手術室という密室の中に起こる事件は
<br />事故なのか、それとも犯罪なのか。
<br />その途中から登場する厚生労働省のスペシャリスト。
<br />傍若無人なその態度に圧倒されながら
<br />事件は予想外な展開に進んでいく。
<br />面白い小説でした。
<br />読む時間が楽しい本です。
<br />その厚生労働省のスペシャリスト
<br />心理学ということもあってか
<br />一瞬、伊良部医師のイメージが頭をかすめました。
<br />でも、それを差し引いても楽しめる小説でした。
抜群の手術実績を誇る医療チームになにが起こったのか？ 3例の死亡例に疑念をもった大学病院長が万年壁際内科講師に調査を依頼する。 そこから医療ミステリーが展開されてゆきます。 医療チームの特殊な信頼関係、大学の雰囲気、医局に染みついたタバコの臭い（本当はしらないけれど多分。。。）を感じさせる医師が書いた小説で読ませます。 そして壁にぶち当たった際、厚生労働省の異色調査官が登場、事態は急展開してゆき、思いがけない結末が。登場人物のキャラクターが皆濃い！。彼らを使って追いつめてゆく心理描写がなかなか良かったと思います。 今は、医療事故に国民の関心が向いているので、シリーズものに発展しそうな、また、それを期待させる、面白い小説でした。
