マニアの方なら、ご存じだと、思いますが、現在市販されている、映像ソフトで、「刑事コロンボ、策謀の結末」と言うタイトルの作品が、何故(小池 朝雄)氏の、吹き替えでは、ないのか?この本を読めば、一目瞭然です。<br />私は、悲しくなりましたけど…<br />とにかく、データの正確さには、ビックリしました。
改訂前の『完全事件ファイル』が出たときにも「よくぞここまで」と思いましたが、今回の版はそこから、常識的には通常あり得ない、驚くべき「改訂」と「増補」が行われており、とりあえず“決定版”と呼んでいいのではないでしょうか。素晴らしい完成度です。
<br />以下、特によかった点、驚いた点を。
<br />1)新シリーズの見開き解説は待望でした。旧シリーズと違って、他にまとまったガイド本がないからです。旧シリーズとは勝手が違って、どうしても「新はどうして面白くなくなったのか」という話になっているのですが、スタッフの死去や変遷などさまざまな条件が重なって“そうなっていった”という過程が、資料を駆使した分析でよく分かって納得できました。その上で、面白い部分を愛情をこめて拾い上げているのが、あの『刑事コロンボ読本』の著者らしいフェアーさに思えました。
<br />2)旧シリーズのエピソードガイドも、大半のページで『完全事件ファイル』からかなり手が入っていて驚きました。タイトルなどトリビア部分の新しい情報の追加。スタッフ&キャストの掲載人数や記述量のアップ。新企画である全犯人吹き替え俳優のプロフィール等々。えのころ工房さんの犯人役イラストも、追加や新規差し替えが10点近くあります!
<br />3)NHK放映リスト(雨で休止の記録まで!)とノベライズリストも嬉しい。
<br />4)カラーページも、「ドックとプジョーのイラスト図解」、「田口計さん、梅野泰靖さんインタビュー」「銀河万丈さんインタビュー」「未撮影シナリオ紹介」等の新企画が満載。 さらに「ピーター・フォーク紹介」「ロサンゼルス地図」「小池朝雄さん紹介」といった既存記事も、全面書き替えされています(実はこれが一番驚いた!)!
<br />5)そして「チリの作り方」ページがカラーに!
コロンボ同人誌も主宰する著者が主筆となってコロンボについて、詳細かつ網羅的に解説した本です。コロンボファン必携の一冊だと思います。また他書にはない、新シリーズまでまとめられているのも資料的には有り難いところです。新シリーズは旧シリーズに比べると、かなり質的に落ちるとは思いますが、コロンボはコロンボなので、まとめられたものが欲しかった要求に充分応えていると思います。
<br />著作権の関係か全体に写真は殆どないのですが、イラストが精妙で、不満は感じませんでした。特にドッグのイラストは、歴代ドッグの変遷の紹介、エピソード解説で、なかなか良い表情をしていて、犬好きの人が特に好むかもしれません。