この種の本としては、戦いの経緯から栗林兵団長をはじめとする人物に関する記事まで幅広くとりあげ、かつ、よくまとまった1冊である。しかしながら、軍事研究家と称する兵頭二十八という人物の書く検証や忠道の戦術という部分については、兵頭氏の知識の浅薄さ、認識不足、そして文書の稚拙さで読むに耐えないものがあり、編集部もこの人物の記事にだけわざわざ注釈を入れている。全般的によくまとまった良い本であるのに、この兵頭二十八の部分で評価を落としていると思う。なぜ編集部は、こんな人物を加えたのか疑問である。
イーストウッドの硫黄島映画の公開に合わせて発売されたムック本。といっても映画の紹介は2Pだけ。第二次世界大戦の名将というと日本ではドイツのロンメルやアメリカのパットンという認識があり、栗林忠道の名前を挙げる人は少ないだろう。彼はアメリカでは高く評価されているが、まさに名将中の名将であったと思う。本書では栗林忠道の写真や自筆の手紙、生存者や家族の証言からその人となりを知ることが出来る。全120ページで写真やイラストも多いので密度の濃い内容ではないが、戦争に興味が薄い人にも読みやすく、また栗林忠道を知るための8冊の本の紹介等あり大変に親切なつくり。同戦闘に参加した内外の将校達について書かれており、興味深い記事が多いが先の方のプレビューにもあるように、硫黄島について熟知している人には既知の内容が多く、TV番組で言う総集編のような本だ。この価格でこれだけの内容なら安いと思う。硫黄島の映画の鑑賞に合わせてご覧になると映画がより深く味わえることと思う。
今、クリントイーストウッド監督の映画がブレイクしている硫黄島です。
<br />生き残った方もごくわずかなため、米国側の視点・資料をベースに考える
<br />より詳しい情報が得られなかったのですが、本書は栗林中将個人について、
<br />そして作戦全体について、図説も豊富で分かり易い内容です。
<br />重要なのは
<br />1、なぜ硫黄島でこれほど多くの人が戦って死ななければならなかったのか
<br />を考察
<br />2、栗林中将という人物を当時の典型的な陸軍首脳部と対比してみることの差異分析
<br />の2点です。
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