ビジネス関連の書には、既に多様な固定観念で汚れた日常的言葉(ここではイノベーション)をあえて用いる事で、好意的読者の意訳に解釈を委ねているものが多すぎる。本書はその良い例。それは丁度、ゴミのような茶器でも、床の間に恭しく飾ってあれば古美術であると好意的に解釈してくれる人達を相手にゴミの茶器でお茶会を開くようなものである。この本読んだ人は、そもそも「同じ」イノベーションの意味を共有しているのだろうか?そして本当にイノベーションの解なるものをこの本から読み取ったのだろうか?
クリステンセンの”イノベーションのジレンマ”の第2弾です。漸進的なイノベーションと破壊的なイノベーションを系統的に描いた秀作です。
<br />クリステンセンは、優良な企業ほど失敗しやすいというこのケースをパズルを解くように考えてきた、と書いているにもかかわらず、本書ではシリアスな”問題”という訳し方をしており、冒頭から微妙な気分にさせてくれます。コモディティを市況品と訳すなど、明らかな誤訳もあり原書の雰囲気を伝えるに至っていません。
<br />可能でしたら、原書”Innovator's Solution”をお読みになることをお勧めします。
「イノベーションのジレンマ」の続編として、ジレンマを払拭してくれると期待して読みました。
<br />確かに払拭するための視点は提供していますので、読む価値ありですが、「どうすればそれができるの」という点については、「ジレンマ」ほどの切れ味はありませんでした。
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<br />続編「明日は誰のものか」で鋭い切り口が展開されていますので、そちらもお薦めします。