この本の中では音楽は本来商品ではなく、体験を提供するサービスである、 <br />ということが何度も述べられている。 <br /> <br />それが、レコードが出現したことで、パッケージ化された「商品」になり、 <br />また、レコード(CD)の製造と流通には莫大な金がかかるため、 <br />資本力を持つレコード会社の力が非常に強くなった。 <br />昨今のデジタル音楽革命？ではファイル共有などでレコード会社の（既得）権益が <br />脅かされており、レコード会社は必死である・・・ <br />という流れを解説してくれている。 <br /> <br />著者はファイル共有しているユーザーのほとんどは金儲けなどのためではなく、 <br />今までのCDの価格が高すぎるから自己防衛的にファイル共有に向かっており、 <br />また、ファイル共有などの新しいテクノロジーそのものを、 <br />より柔軟にビジネスにしていくべきだと指摘している。 <br />イメージは「水のような音楽」で、ISPに委託するなどして <br />広く浅く万人からお金を徴収し、アーティストなどの権利者に分配する代わりに、 <br />音楽の配布、コピー、共有などは自由に認めていくべきだという思想である。 <br /> <br />以上のような興味深い内容（ほかにもいろいろ書いてあるが）なのだが、和訳が翻訳調で少々 <br />読みにくく、冗長なところも多いので、噛み砕いて読み通すのにはしばらく時間がかかるのが難点。

自分の音楽・歌をやる諸君。特に、現時点において、自分の音楽・歌の活動において、経済的に失うモノを持たない諸君。ぼくもそのような諸君の一人だ。 <br /> <br />そのような諸君にとっての福音だ。その福音がしっかりと論理構成され、そして、様々な事例でバックアップ。 <br /> <br />強引にまとめると以下のようになるだろうか。 <br /> <br /> <br />・音楽は、モノのやり方で扱われるべきではなく、コトであることが本質的で <br />あり、本来の在り方。モノの経済性は、初期の持ち出し、高固定費を早期・着実に回収するため、短期間の大量生産、大量流通、大量広告、大量消費を必要とする。コトの経済性は、等身大、細く、長く、しぶとく、しつこくでも成り立つ。 <br /> <br />・ライブのプロモーションというかカタログとして、ディジタルフォーマット、ファイルとしての流通は歓迎するべき。 <br />・音楽制作のための損益分岐点はどんどん下がっている。テクノロジー、イノ <br />ベーションは音楽やる人間にとっての福音。 <br />・音楽の消費のされ方も、人、タイミングにおいて、どんどん単位が小さくな <br />る。むしろ、小さくしていく方が無理が無い。 <br /> <br /> <br />この書物の展望を踏まえて、音楽活動を続けることだ。 <br /> <br />自分に言い訳無く妥協ない音楽・歌の活動を展開し、 <br />その音源・楽曲などはどんどんフリーで公開し、 <br />濃く、長く続く出会いの確率を高め、 <br />制作においても配信においてもコスト性能が上がるものは積極的に取り入れ、 <br />しぶとく、しつこく、長期に亘って続ける。 <br /> <br />コトの展開は速い。本書で予感として語られていたことが現実となり、その現実となったことが、かなりなペースで進展している。 <br /> <br />未来の行方を示しているのではない。現在こういうことになっているのである。 <br /> <br /> <br />