これからの定番の1冊になる本です。
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<br />本書の価値は、イノベーションというこれからの企業の最重要テーマを中核に、
<br />時間軸(成長・成熟・衰退)と空間軸(市場・製品・顧客・プロセス)の広がりを見事に整理したうえで、
<br />複雑な世界の活用とボリュームの制御を異なる戦略として分化し、
<br />それぞれのイノベーションのあり方を提示していることです。
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<br />更に、イノベーションを必要十分に行うために、経営資源のライフサイクルにまで言及しています。
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<br />原書タイトルが「Dealing with Darwin」であるように、
<br />本書は生態系の進化理論をアナロジーに活用していると思われます。
<br />進化理論をご存知の方は随所にそれが見られると思います。
<br />また、時空間軸を使っていることから、非線形ダイナミクスのアナロジーも活用していると思われます。
<br />このように最新の自然科学の知見をアナロジーとして活用していることも、
<br />本書の価値を高めているのだと思います。
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<br />これまで、イノベーションに関する良書は沢山出ています。
<br />それらは、著者の才能によって見事にイノベーションを描き出しています。
<br />ただ、著者らの専門分野に特化した内容のものが少なくないことから、
<br />このようなイノベーションを統合した本が出てきたことは非常にありがたいことだと思います。
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<br />イノベーション理論をイノベーションしたといってよいでしょう。
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<br />イノベーションで悩んでいる人には、朗報だと思います。
<br />またイノベーションに抵抗している人には、退路を絶たれる内容となっています。
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<br />なお、触れられている個別の経営手法そのものは、既出のものであり、
<br />それらをより深く理解したい場合はその書籍を読むことをお薦めします。
<br />トム・ピーターズ、クレイトン・クリステンセン、ジェームズ・コリンズ、トム・ケリーらの著作は、
<br />本書と併せて活用されると、より効果的だと思います。
本書ほど、「イノベーション」という用語が頻繁に出てくる
<br />書籍はないのではないか?と思わせるほど、徹底してイノベーションと
<br />市場浸透、製品ライフサイクルを分析しつくした労作です。
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<br />コアは、シスコシステムズが事例で、相当深く具体的に分析。
<br />米国ハイテク業界だけにとどまらない数百社の事例を挙げて、
<br />各テーマで分析しつくした本書は、現代の必読書の一つ。
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<br />しかし、本書の原題の意味は、最後で明らかになってきます。
<br />イノベーションの分類、意味、意義、ビジネスアーキテクチャ分類
<br />などを経て、後半は、休むことなくイノベーションを繰り返し、
<br />生き残っていく企業が経営資源をいかに再配分するか、です。
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<br />ですが、これは、まさしく、過去の成功や体験で生き残ろうと
<br />する経営陣、社員の甘えを許さない、ダーウイン的適者生存、
<br />たゆまぬ競争の世界では、社員の入れ替えもやむなし、つまり
<br />レイオフ、リストラも仕方なし、という、インパクトのある
<br />締めくくりです。
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<br />容赦ない市場原理至上主義、資本主義の貫徹の行く末の、
<br />砂漠のような姿をまた本書は描き出してもいます。
今までのジェフリー・ムーアの書籍の内容をベースに、様々なイノベーションに説明が記してある。シスコを中心に色々な企業を各イノベーションに当てはめているのでとても理解しやすくなっている。ただ、アメリカの企業ばかり(当たり前だが)なので、訳者は注釈としてその企業はどういう業種でどういう位置(規模など)なのかを説明してほしい箇所もいくつかあった。
<br />後半は衰退した商品(サービス)に対してはアウトソーシング、オフショアリングせよと示しており、私としては「そんなことをしたらリストラの嵐ではないか!そんなものうまくいくはずない」と思いながら読んではいたが、見事に私の不満も終わりの方で解消してくれた。
<br />今、自分が働いている会社と当てはめてじっくり読むと結構、味が出でてくる書籍だと思う。