2006年版があまりにもお粗末だったので、2007年版も駄目だろうと思っていたら、かなり改善がみられた。この点は大いに評価したい。
<br /> ただし、筆者がベンダー試験の専門家ということもあって、国家試験とのミスマッチは否めない。また、セキュアプログラミングについては、はっきり言って書きすぎであり、焦点ボケが生じているのも確かである。昨年の試験内容をみて、C++、Java、Perlの学習をはじめた人が多いようだが、これらのプログラミング言語についての知識が前提として必須のものというわけでもなく、よくあるトピックスのいくつかを知っているかどうかが大事なのであって、根を詰めて学習するのは愚の骨頂である。
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昨年版と比べ、記述がより具体的になった。プロトコルシーケンスも詳しい。
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<br />セキュアドの教科書とは異なり、章末にやや抽象的な問題があるが、本文を見ながらでもよいので、書く練習のつもりでやってみると、知識の定着、アウトプット訓練の両面で有益と思われる。
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<br />昨年ほぼ出版直前に試験範囲に加わったセキュアプログラミングも、言語が試験に即したものになり、大幅にページが増えた。ただ著者自身書いているように、IPAのセキュアプログラミングのWebサイトで十分補強する必要がある。無論、Perl,C++,Javaの言語知識はすべて前提となる(どれがでるかわからない)。
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<br />18年春の本試験問題については、IPAが具体的回答例を示さなかった(**について適切に記述できていること、などの表現だった)午後2の問題も、著者の表現で具体例がある。
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<br />「網羅的教科書」の内容としては、ページ数の制約もあり、十分だと思ったので、今回は星5つをつけさせていただいた。
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<br />ただ、やはりこれ1冊で受かろうというのは無理であり、関連知識を身につけたり、実際に演習書で、長大な問題文をすばやく正確に読み取り、その条件に基づいててきぱきと回答する訓練が必要。
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<br />また、ソフ開過去問の午後1問題のいくつかは、基礎を身につけるのに役立つ。各回の問1、問3あたりになろうか。ネットワーク午後も参考になるかもしれない。
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<br />また日経BPムックの「超入門」シリーズはあわせて読むと判りやすく、役立つ。「新・ネットワークセキュリティ」「情報セキュリティ」「TCP/IP」「新・ネットワーク」あたりは目を通しておくとよいと思う。ルーティングも、VLANも、DNSも、セキュリティに関係してくるのだから。
このシリーズの本としては珍しく、前回のものからかなりの変更が加えられている。2006年度版はあまりにも内容が試験とかけ離れていて本当にひどかったが、今回の2007年度版はかなり改善されている。
<br /> 難を言えば、システム設計者としての観点から書かれていないことだろうか。試験問題の分析が不十分。筆者はそもそも何の試験なのかわかっていないようで、どうもCisco CCNPあたりと同列にとらえているようである(当然、立場は違う)。また、「昨年度売上No.1」の表記は、不正競争防止法上問題があるかもしれない。
<br /> 今回星4つにしたのは、年度を変えただけの日経BPの3週間マスターと比較のうえでの話で、お役立ち度からすると本来は星3つなのかなあ、と思う。