小野田さんは、さきの大東亜戦争を果敢にたたかわれた、まごうなき一勇士であられます。その勇士によって著述されたのが本書です。ここには、喜怒哀楽とともに生と死を凄絶にみつめながらも、そしてそれを生き抜いた者の冷徹な視線があります。私は、生きるとは何か、そして死とは?という命題を、この生命の歓喜なきただれた平和にほうけた日本において、改めて思念させられました。と同時に怒りもまた奔騰してきたのでした。戦後の小野田さんを手をふってむかえたはずのわれらの同胞が、寸時をおかずして、彼を戦争賛美者、軍事国家日本の亡霊などというレッテルをはってブラジルへと追いやったことです。これは、1945年8月15日を境目にして、特攻隊員をはじめとする軍人、そして英霊らに悉く背をむけた、かの醜き日本人そのものの冷たい姿が、またここにもあったのでした。戦後は、いまなお“終わって”はいないのです。しかしながら、著者がすごいのは、そのような仕打ちをうけたにもかかわらず、その後、愛する祖国日本を退廃の亡国より救うべく、様々な活動とともに、日本とブラジルを往復しながら行ってきたことです。なんという大きな器と高らかな人格なのでしょうか。私はその読後、小野田さんとともに、美しい国日本を再生していくことを決心したのでした。
あっという間に読み終えてしまいました。涙が止まらなくなってしまった部分。思わず腹を
<br />抱えて笑ってしまう部分等々非常に興味深い良書に出会えました。
<br />読み進めていくうちに、30年の戦いの中でほとんど私心を出さずあくまで公の心を前面に
<br />出して戦ってきたことに深い感銘を受けました。部下と衝突しても、私心を抑え、あくまでも
<br />帝国陸軍将校として最終的に部下を諭し、国の為、友軍の為に任務遂行に邁進していく。まさ
<br />にかつて存在した侍のように・・・。
<br />この本をぜひ、最近とかく「うざい!」「キモい」が口癖になりとかく無気力になりがちな
<br />青少年たち、権利ばかりを主張し、その裏に履行すべき義務を果たさずにいる大人たちに読ん
<br />でもらいたい。そして氏のエネルギーを体感して頂きたいと思います。
初めて小野田さんの話を聞いた時には、多くの疑問が湧き上がった?
<br />「なぜ、戦争が終わっても、長い間そこに留まろうとしたのか?」
<br />「どうやって、長い間生き延びることが出来たのか?」
<br />「正直なところ、戦争で頭がおかしくなってしまったのだろうか?」
<br />
<br />この本を読んでこれらの疑問がとけた。
<br />
<br />決して、小野田さんは頭がおかしくなっていたわけではなく、通常の
<br />人よりも意志が強く、サバイバル能力が高かったために、起こったこと
<br />だったのだろう。
<br />
<br />時代に翻弄された人生と言えるが、翻って現代の日本はどうなのか?
<br />ということまで考えさせてくれる本である。