本書は、各映画作品を掘り下げようとする資料的な価値は無い。純粋に、「007シリーズで遊ぼう!」という意図の下に制作されている。
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<br />各作品の舞台になったスペクター他の「悪の秘密基地」やボンドカーの大図解集!かつての「少年マガジン」に代表される漫画雑誌の巻頭企画のノリを大真面目にやっているのである。
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<br />007シリーズは一言で言えば、大人の願望充足童話であるわけで、お色気を排してしまえばもう、子供の興味と同じ目線での楽しみである。だからこそ、世代を超えて長く広く愛されているわけだが、40年に渡って未だ新作が作られている「怪物的」人気シリーズのある種の本質を、本書は見事に切り取っているわけだ。
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<br />そして面白いのは、本書はイギリスで出版されたものを和訳しているということ。イギリス文化と日本文化は似たところが多いわけだが、この種の「大図解趣味」まで通じる部分があることは驚きだ。だが、それをまじめに商品化しようという試みる「遊び心」は、残念ながら日本人。。。商業ベースで見るマジョリティ。。。は持ち合わせていないのであった。
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<br />日本とイギリスの比較文化論的史料価値というのはあるのかもしれない。
いざページを開いてみると、私の好きな秘密兵器が、細かく載っているではありませんか!とにかく何が何でも007好きにはたまらない本です。多少、ほんの少しだけミスがあったりもしますが、「James Bond:TheSecret World of 007」の日本語訳なのでカジノロワイヤル公開の機会にぜひ購入してはいかがでしょうか。(英語が分からない方にお勧め・カジノロワイヤルのことも少しだけ載っています)
「恐竜図鑑」「魚の図鑑」「植物の図鑑」「宇宙の図鑑」……
<br />「ジェームズ・ボンド図鑑」みたいなノリです。
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<br /> 第一作『ドクターノオ』から最新作『カジノ・ロワイヤル』までの、
<br />主要な登場人物やストーリー、アイテムや兵器などをカラー写真と
<br />カラー絵(まさに図鑑な感じの、注釈付きのアレ)で紹介しています。
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<br /> 映画に関する、詳細な資料集を期待するとガッカリするかも。
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<br /> 字は大きめですが、漢字にフリガナはついていません。
<br /> ページも一般の図鑑と比べると薄め(160ページほど)です。
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<br /> 『カジノロワイヤル』以外はオチまでネタバレしてますので、未見作品が
<br />ある場合はご注意のほどを。